【著者が語る】会社の責任? それとも……? 社員がメンタル不調になる前に

Smart 相談室
藤田 康男 代表取締役・CEO

Smart 相談室
藤田 康男 代表取締役・CEO

【PROFILE】医療系人材紹介会社にて10年間、複数事業の立ち上げや組織マネジメントに従事した後、2021年2月にSmart相談室を設立。これまでのマネジメント経験から、従業員のメンタル不調に関して課題感を持ち、独自の視点から、課題に対するソリューションを検討中。日本の生産性を高め、社会に貢献したいと考えている。

私はこれまで、事業の責任者として、事業拡大を目指すことをキャリアにしてきました。MBAで教わるような経営理論や事例と実際に自分の目の前で発生する課題、問題を照らし合わせながら、意思決定を行ってきました。

その中で、メンタル不調になってしまうメンバー、突然退職を希望するメンバーが現れることを経験し、2つのことを学びました。

1つ目、メンタル不調者はどこまでが「健康正常」で、どこからが「病気」なのか、自分ではわからないこと。

2つ目、調子が悪くなった理由が、「自分の評価に関わるようなこと」「パートナーのことなどかなり個人的なこと」「見方によれば些細なこと」であること。

私はこの2点から、ここには「合理的に相談できないギャップ」が存在していると悟ったのです。そして、「病気ではない健康な状態でも、自らの判断で気軽に話ができるような仕組み」を社内に作り、相談すれば良いのではないか、とまずは考えました。

しかし、仮にその仕組みがあったとしても、自分の評価に関わるようなことを会社には相談しないだろうし、プライベートなことや、パートナーに関する悩みを上司や人事労務担当者に相談することは常識的に考えてもないだろうと思いました。また、個人の悩みは千差万別で、そのメンタルレベルも人それぞれなのです。そして、企業内で奮闘される人事労務担当者も、もがき、時に疲れ、諦めてしまっているケースも散見されます。

本書では、実際の相談者、人事労務担当者、カウンセラーそれぞれの立場からの実例を掲載し、そこにどのような課題があり、その課題について、経営者がどのように対応し、解決しているのかを具体的にお伝えしています。

また、今後求められるであろう、経営者や人事労務担当者のあるべき姿、人的資本経営への新しいアプローチや健康経営についても触れています。私が「合理的に相談できないギャップ」を埋める活動を進める中で感じている、今後、社会に求められる経営者、人事労務担当者の姿と、社員と企業の労使関係のあり方について共感していただけると思います。

藤田康男 著
日本能率協会マネジメントセンター
1,700円+税

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