揚羽
黒田 天兵 ブランド戦略プロデューサー
想像より多くの日本のビジネスパーソンが熱意もやる気もなく、ただ日々の仕事をこなすだけになってしまっています。とある企業で従業員の無記名での意識調査のアンケートを行ったところ、「あの部長は何の仕事もしていない。威圧感を出すことが仕事だと勘違いしているんじゃないか」「最近の若手は挑戦をしない。防空壕の中にでも入っているのか」というコメントがありました。
100社、200社と様々な組織の内情をヒアリングする中で、このような「全員他責」の状態はその会社だけでなく、世の中にたくさんあるということもわかってきました。このような状態では、その組織が良い人材を採用し、愛社心を持って定着して、未来永劫成長し続けるという風になれるはずもありません。
しかし一方で、良くない状態を脱し、個々人が高い志を持って急成長を遂げるような組織もあります。私はそういう組織を「強い組織」と呼び、そうでない組織を「弱い組織」と呼んでいます。そして、「強い組織に共通すること」を日々の合間を縫って研究し続けました。こうして数年かけて見出したのが本書の中でも登場する「組織の変革3ステップ」と「言葉の分解図」です。
この本では、なかなか掴みづらい「エンゲージメント」という概念と「インナーブランディング」という組織の課題解決の手法を、わかりやすくストーリー調で解説しています。人事部長はもちろん、風土改革・意識改革に携わる方、採用力の強化に携わる方などに特に参考になると思います。
エンゲージメントは、人材の採用~育成~定着に欠かせない重要なキーワードです。それは、働くすべての人にとっての「そこで働き続ける理由」です。本書の主人公である今居の成長ストーリーを通じてエンゲージメントの魅力を追体験し、ぜひご自身のエンゲージメントを考えてみてください。本書が、働くすべての人の背中を後押しする力となれば、著者として望外の喜びです。
黒田天兵 著
朝日新聞出版、1,600円+税