野崎 大輔 日本労働教育総合研究所 所長 グラウンドワーク・パートナーズ 専務取締役 特定社会保険労務士
それがパワハラと言われ、どちらが悪いのか分からないような状態になってしまったという問題が増えています。これをハラ・ハラ問題と言います。ハラ・ハラとはハラスメント・ハラスメントの略で「ハラスメントという大義名分を武器に、言いがかりに近いことを言って周囲を困らせる行為」であり、このような行為をする社員をハラ・ハラ社員と言います。
よく知られているのは、セクハラ、パワハラ、モラハラ、マタハラですが、これ以外にも約30個のハラスメントがあるのを知りました。カラハラ、エアハラ、ソーハラ…、どれもいつの間にか勝手にできたものばかりのようです。
タレントのヒロミさんはある番組で「ハラスメントはどんどん大きくなっちゃってるじゃない? いろんなところにハラスメントがくっついちゃってるから。 そうすると本当に生きづらくなっちゃうし、会社で何も言えなくなっちゃう」と言っていました。
まさにその通りでコンプライアンス重視が叫ばれる風潮は人事面においては窮屈な時代に突入しています。「あれをやったらダメ、これもダメ…、じゃあいったいどうすればいいんだ!」というのが管理職の心の叫びだと思います。
従来のハラスメントでは被害者と加害者の構造が比較的明確でしたが、今はどちらが加害者なのか分からないような問題に発展しています。様々な業種の社員数4人の中小企業から1万人の上場企業の経営者、人事部長から同じような相談をされました。
何が言いたいかというと、ハラ・ハラ問題は企業規模、業種にかかわらずどのような企業でも起こりうる問題だということです。ハラ・ハラ問題は今後も増えることが予想されるので、企業としては対応策を講じていくことが求められます。
単にハラスメント研修をやっただけでは解決できないこの問題についてどのようなことに注意して取り組んでいかなければならないのかということを分かりやすく1冊の本にまとめました。あらかじめ知っておけば防げる問題も多いと思います。
野崎大輔 著
講談社、840円+税