ピープルフォーカス・コンサルティング
松村 卓朗 代表取締役
【PROFILE】2003年、ピープルフォーカス・コンサルティング(PFC)に入社。経営幹部のリーダーシップ開発を伴う組織開発や、理念浸透を軸とした組織変革支援等のプロジェクトなど、その設計から運営支援まで、数多くの案件を手がけてきた。また、若手から経営陣までの幅広い層を対象に、リーダーシップやファシリテーションなどをテーマとした研修を提供している。2012年、代表取締役に就任。 PFC入社前は、ブーズ・アレン・ハミルトン社およびジェミニ・コンサルティング・グループの東京事務所でシニア・コンサルタントを歴任。PFC入社時には既にマネジメント・コンサルタントとして10年余の経験を有していた。 主要外資系企業で日本人マネージャーのトレーニングを専門とし、化学・電機・製薬・建設・電力・食品・通信・コンピューター・アパレルにまで多岐にわたる分野での実績をもつ。横浜国立大学経済学部卒業。著書に『勝利のチームマネジメント サッカー日本代表監督から学ぶ組織開発・人材開発』(竹書房)・『組織開発ハンドブック』(共著/東洋経済新報社)・『チームビルディングの教科書』(共著/秀和システム)・『話し合う技術を磨く』(共著/日経BP社)等。
多くの日本企業が「失われた20年」を過ごす中で、「世界に飛躍し、劇的に強くなった20年」を過ごしたサッカー日本代表チームからビジネスパーソンが学ばないのはあまりにももったいない。その一心でこの本を書いた。
日本代表は、残念ながら今回のブラジルW杯では良い結果を残せなかったが、実は「これだけ短期間で強くなったのは、各国の代表を見渡しても史上類を見ない」と言う外国の評者も少なくない。
サッカー日本代表は、どのようにしてこんなにも強くなったのか?さまざまな理由があろうが、私は、「監督のチーム作り(チームマネジメント)」がその答えの1つではないかと思っている。スタイルややり方は違えども、歴代のそれぞれの監督が、その時代にあったチーム作りを効果的に行った。
そして、紆余曲折はあれども、20年を一連の歴史として見れば、チームを劇的に強くさせる方向でバトンをつないで、チーム作りも進化させてきた。日本代表チームが強くなった過程には、いわば、チームの「組織“開発”」の発展の歴史がある。
「組織“開発”」は、「組織“改革”」と比較して語られる言葉だ。組織“改革”は、部外者を通じて行う、「変える」という行為だ。誰かが描いたプランに沿って、組織の体制を作り上げていく。
目に見えるもの、すなわち制度や仕組みを対象にすることが多い。一方、組織“開発”は、目に見えないものを対象として、内発的な力を働かせながら、組織の構成員一人ひとりが自ら「変わる」という日々のプロセスだ。
具体的には、ビジョンの明確化、価値観の共有、異文化との融合、コミュニケーションの徹底、リーダーシップの発揮、といったことを積み重ねることだ。それによって、一人ひとりに意識や行動の変化が生まれ、組織が変わっていくことを目的とするものだ。
本書は、各監督の取り組みを通じて「組織“開発”」というものを分かり易く伝えている。サッカーファンはもちろん、サッカーには興味がないという方にも、本書を通じて自身のチーム作りのヒントを得てほしい。
松村卓朗 著
竹書房、850 円+税