【ベンチャー企業の中途採用】スキルやカルチャーがフィットせず、転職活動を行う求職者が増加傾向

ベンチャー

プロコミット
清水 隆史 代表取締役社長

ベンチャー企業の求人動向と関連がある新規上場数は、2012年46社、13年54社、14年77社と増加をしており、10年と比べると3.5倍の水準に至っています。この点では外部環境として順調だと見ることができます。

しかしながら、今年3月末に東証が「最近の新規公開を巡る問題と対応について」と題して「新規公開会社の経営者による不適切な取引など投資家の信頼を損ないかねない事例が散見される」、と異例の指摘をしました。これにより今後、新規上場数の減少、ベンチャー投資の縮小といった向かい風が吹くと予想されています。

今後影響が出てくる可能性はありますが、現段階では求人数の減少といった事態は起こっていません。また、既上場のベンチャーは、M&Aや新規事業で業容を拡大する意向があり、中途採用は総じて活発であるといえます。

需給バランスとしては、求人数に対して、十分な候補者がいるとはいえない状態が続いています。特に、ベンチャー企業が経営幹部候補として積極的に採用する「コンサルティングファーム出身者」や「管理部門を幅広く経験している管理部門長候補」などは、相変わらず転職市場において不足感があります。

なお、最近ではベンチャーからベンチャーへの求職者の移動が目立ちます。投資家からの資金調達に成功するベンチャーが増えてきたものの、スキルやカルチャーがフィットせず、転職活動を行う求職者が以前より増加傾向にあります。

外部に対する情報発信が必ずしも十分ではないベンチャー企業は、候補者と十分に対話することが何より重要です。その際、企業側が選ぶというニュアンスを含みがちな「面接」ではなく、「面談」という位置づけでカジュアルな接点からスタートすることは有効です。今すぐ転職するという顕在層以外にリーチできるからです。

ただし、カジュアルな接点だけでは「お茶を飲んだだけで何も起こらなかった」という事態を招きがちです。信頼できる紹介会社と連携をしながら、採用に向けて背中を押していくことも重要です。

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