【著者が語る】アメリカ的論理志向では問題は解決できない 日本型プロフェッショナルの条件

島本パートナーズ

島本パートナーズ
安永 雄彦 代表取締役社長

日本が遂に形だけでない「グローバル化」の波に翻弄されだして、自身の企業を存続させるために、再度海外への進出を考えなければならなくなってきた。しかし、いつの時代も言われるのが、「海外人材不足」ということである。はたして本当に人材不足なのであろうか?

私は、多くの大企業は人材は沢山抱えているがそうした人材を専ら社内用に付加価値をつけさせ育成するだけで、社外や海外でも通用するような人材の育成を怠ってきたからこうした事態を引き起こしているのではないかと考えている。

よく言われるように就職と就社は異なる概念であり、個人のキャリアに引き直してみると全く異なる価値観のもとにキャリア選択を行っていくことになる。

私が80年代の英国で遭遇した事業法人や、金融の世界のプロフェッショナル達はそれぞれ自分の属している専門家のクラブ(ギルド)に忠誠を誓っており、その時々に所属している法人とは対等な雇用契約を勝ち取っていた。

当時の私は、自分が終身雇用として三和銀行のために粉骨砕身していたことに全く疑いがなかったので、英国人たちの生き方が不思議でならなかったものである。

本書は、プロのヘッドハンターとして独立し、会社を経営している経営者の端くれとして、「日本型のプロフェッショナル」のあり方を、自身の経験を交えながら語ったものである。いわば、企業の中で中堅幹部として会社のために不借身命して働いていた20年前の自分に向って語ったものである。

いわゆるキャリアをどのように作っていくかということよりも、キャリアとは自身の人生にとってどの様なものであるべきなのか。自分の人生観と死生観を背景に真剣に考えてみることを読者に提起している。

自分の生き方を組織の中でもがきながら模索している大志を持った創造と変革の志士たちへの指針を示すことができれば幸いである。

島本パートナーズ

安永雄彦 著
ダイヤモンド社、1680円

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