グローバルマインドを持つ人材が不足する日本

企業の採用責任者の頭を悩ませているのが、英語によるコミュニケーション力と高度な専門スキルを持つ人材の確保だ。こうした人材の紹介を専門に行うヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンで責任者を務めるジョナサン・サンプソン氏に、企業の採用動向や課題などについて聞いた。

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ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン
ジョナサン・サンプソン リージョナル・ディレクター

2013年1月からヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンの全事業を統括し、事業拡大を主導。人材業界で10年以上の経験を有し、人材ビジネスの開発と立ち上げ、チーム管理において豊富な知識と実績を擁している。

企業からの人材紹介の依頼に関して、特徴的な動向を教えてください。

特に企業が求めているのは、グローバルマインドを持って仕事ができる人材です。以前は英語力を優先し採用していた企業が、英語力以上に「異文化の人たちとコミュニケーションをとって、仕事で結果が出せるスキル」を重視する傾向が明確になっています。

この背景には、日本市場だけを見ていた企業がグローバルに事業を展開するようになっていることがあります。例えば、テクノロジー分野のビックデータの活用やセキュリティ構築では、日本だけでなく世界で通用する基準を満たす必要があります。

また、ライフサイエンス分野では、より短い開発期間で新しい商品を世界中の市場に出していきたいという戦略が見られます。このようにグローバルな市場で企業が勝負をしていくために、これまで以上に高度なスキルを備えた人材が求められているのです。

グローバルな環境で活躍できる人材は奪い合いとなっていますね。

当社が世界30カ国の人材市場を調査した「グローバルスキルインデックス」によると、日本は企業が求める役割を果たせる適材を採用することが最も難しい国と評価されています。理由の一つには、労働規制が柔軟性を欠いているため、企業が必要なときに必要な人材を採用できないという点にあります。安倍政権が雇用改革を試みていますが、残念ながらまだ成果が見られません。

そして、企業が求めているグローバルマインドを持つ人材の不足については、これまでそうした人材を十分に育ててこなかったこともあり、すぐに解決できる問題ではありません。私が注目すべきだと考えているのは、若い世代の働く意識についてです。

当社が日本の20代を中心に調査したところ、彼らの44%がキャリアアップのためにグローバルな環境や機会を得ることに関心がないと回答しているのです。こうしたミスマッチによって、グローバルな環境で活躍できる人材の採用が激しさを増しています。

優れた人材を確保するために、企業が取り組むべきことは?

日本の若い世代の働く意識はこれまでの世代と異なる点が見られますので、人材戦略を考える上で彼らの考え方を十分に理解しておくことが大切です。そして優れた人材をどのように引きつけ、採用していくのかを検討して、より魅力的な職場環境を用意することが重要になります。

事業がグローバルに広がり、様々な分野でテクノロジーが進歩していくのと同時に自社が必要とする人材の要件は変わってきます。これまでと同じような採用を続けていては人材確保が難しくなりますので、常に最適な人事方針を作り実践していくことが欠かせません。

企業の採用課題に対し、どのような支援を提案していますか。

人材紹介、人材派遣、採用アウトソーシングの3つの事業を当社と同じ規模で行っている外資系人材会社は日本にはありません。空いたポジションに人材を紹介するだけではなく、クライアントの人材戦略全体に対して支援を行っています。

100人以上のコンサルタントが13の専門分野で対応していますので、専門知識が豊富でクライアントの事業環境を深く理解したコンサルティングを行うことが可能です。採用計画やキャリア開発に役立つ独自の専門情報を提供できることも強みとなっています。

日本は世界の中で人材の確保が最も困難な国と評価されている

●「ヘイズ グローバルスキルインデックス」日本の人材市場の評価スコア

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企業のグローバル展開の支援ではどのような強みがありますか。

世界240オフィスで事業展開しているプラットフォームやノウハウを活用しています。ヘイズのブランドは世界中に浸透しており、各国で活躍している日本人もデータベースに数多く登録されていますので、日本国内だけでなく世界中から最適な人材を探し出すことができます。最近の事例では、大手自動車部品メーカーの欧州と中国オフィスの開設や人材採用を成功に導きました。

大阪支店と横浜支店ではどのような支援を行っていますか。

関西では幅広い分野で需要がある中、特にライフサイエンス、ITや産業分野のセールスマーケティング、サプライチェーン分野、首都圏から関西への拠点分散、外資系企業の新たな進出に伴う人材需要が強く、急速な拡大・発展を遂げています。

神奈川エリアでは7月に横浜市内に新たな支店を開設しましたので、より密着したサービスが提供できるようになります。今後も包括的で質の高い人材サービスで貢献していきたいと考えています。

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