
BBドライビングフォース株式会社
藤本 英樹 代表取締役
【PROFILE】早稲田大学政治経済学部卒業。学生時代より音楽活動に従事し、米国・仏国のレコード会社より3枚のフル・アルバムを発表、計40か国以上で公演を行う。音楽活動引退後、事業会社、日系シンクタンク、外資系コンサルティングファーム、国会議員事務所などで、営業、マネジメント、調査・研究・分析、各種コンサルティング(for 企業、中央省庁、地方自治体)、選挙対策、業界団体設立・運営、政策提言等、多様なキャリアを経験。2024年7月、BBドライビングフォースを設立。趣味/特技:オペラ歌唱/演説
今、私たちは「3つのリセット」を迫られています。1つ目は「価値観のリセット」。かつては“モノの所有”が幸福の象徴とされていましたが、今では「意味」や「体験」の重視へと大きくシフトしています。
この変化は、組織における人材マネジメントや企業文化のあり方を、根本から問い直す契機となっています。本書では、人的資本経営の中核をなす「カルチャー」の意義と、その変革の重要性について考察していきます。
2つ目が「世代のリセット」。これまでの制度や価値観は、戦後の高度経済成長期に形成されたものがベースでしたが、Z世代を中心とするデジタルネイティブ世代の登場により、組織に対する期待も様変わりしています。彼らは「安定」や「出世」よりも、「成長実感」や「社会とのつながり」、そして「意味のある仕事」を重視します。
本書では、形骸化したMBOの課題を起点に、制度の限界を乗り越える目標・評価・対話の再設計方法を、海外先行事例を交えながら、日本企業が踏むべきステップに落とし込みます。
3つ目は「AIによるリセット」。AIが生産性の最適化を担い、人間の定型業務を高速・正確に代替するようになった今、人間に問われるのは“働く意味”そのものの再定義です。人事がこの超難題から目を逸らすことは許されません。
人事は制度の運用者から「働く意味の設計者」へと軸足を移す必要があるのです。これら「3つのリセット」が、複合的に企業に変革を迫っています。
働くことが収入の手段から「世界への関わり方を選択する行為」へと変わり、越境キャリアが常態化する中、人事は「囲い込む」から(組織を越えて)「支える」へとその本質をシフトすることが必須です。哲学なき人事は、AIに勝てません。
必要なのは「制度」よりも「人間観」。働き方、キャリアのあり方、カルチャーの価値、リーダーシップの定義…これらすべてのアップデートはHRから始まります。「日本再興の起点になるのは、HR。」――本書は、未来を切り拓く経営者と人事担当者に贈る一冊です。

藤本英樹 著
日本橋出版
1,700円+税