
Skillnote
山川 隆史 代表取締役
【PROFILE】早稲田大学理工学部卒。信越化学工業入社。電子材料事業本部にて新規技術のビジネス開発や開発品の市場開拓などに従事。10年間にわたり、半導体用材料の次世代技術開発など、アジア・欧米のグローバル企業とのプロジェクトに多数参画。2006年3月に製造業の人材育成を支援する会社を創業、2016年1月にSkillnoteを設立、現在に至る。2006年以降、製造業の人材育成、スキルマネジメントの課題に取り組んでいる。
これまで私が製造業に携わってからまもなく30年になります。そのうち20年近くにわたって、製造業の人材育成や本書で提唱する「スキルマネジメント」の課題に取り組んできました。
私が、競争力の源泉は「人」であると実感したのは信越化学工業に勤務していた時に起きた半導体市場において日本企業が主導権を失ってしまったことを肌身で感じたからです。
どうしてこのような事態に陥ってしまったのか。厳然たる事実を前に思考し、考えた末にたどりついたのが「人」の問題だと思い、企業の競争力を突き詰めていくと「人」に帰着すると思います。
「人」が競争力の源泉なのだから、「人」が成長できる環境を整備しなければならないと感じ、製造業で「人」が高いモチベーションで仕事をできる仕組みを創ろう。この想いが私の起業の原点です。
しかし、製造業の現場では、従業員の力を活用すべくスキル情報の蓄積・活用に取り組んでいる企業が増えつつあるものの、ほとんどの現場はまだエクセルや紙の運用どまりです。形骸化し、人材育成も担当者任せで場当たり的であり、技術・技能伝承や多能化も求められるほどに進んでいません。
ISOの監査対応のスキル・力量管理で負担を感じ、スキル体系や評価基準が整理できていない製造業が大半を占めています。
この状況を変えるために本書では、従業員が持つ能力・経験・資格などからなるスキルデータを蓄積・活用することで、従業員の力を最大限に引き出し、事業目標を達成するための活動であるスキルマネジメントについて解説しています。
技術者・技能者の専門性の高さ、現場で求められるスキルの細かさ、最新技術への更新と従来技術・技能の伝承がともに重要などの特質から、スキルマネジメントの有効性はひときわ高いと考えています。
スキルマネジメントに関する導入や運用のポイント、推進していくうえでの難所の乗り越え方を解説し、明電舎様・川崎重工業様の具体的な事例も紹介しています。本書が製造業における人材育成と組織運営の向上に寄与し、貴社の持続的な成長と競争力強化の一助となることを願っています。

山川隆史 著
東洋経済新報社
1,700円+税





