組織率が低下している「労働組合」の役割を今一度確認してみたい

あなたは労働組合に対してどんなイメージを持っているだろうか。「怪しい」「宗教的だ」などというイメージを持っている人もいるが、それは間違いだ。労働組合は、労働者と使用者(経営側)との利害関係を調整する機能を持ち、労働者が人間らしく働くうえで欠かせない存在である。この記事では、知っているようで知らない労働組合の役割について解説する。(文:日本人材ニュース編集部

「労働組合」とは何か?

「労働組合」とは、「労働者が自らの仕事や暮らしの質や条件を維持、改善することを目的として自主的に組織した民主的な団体」と定義されている。

なぜ、労働組合があるのか。理由は簡単。労働者より使用者のほうが有利なためだ。労働者は使用者に労働サービスを提供し、生活費を得ている。働く場がなくなれば生活費を得ることができず、路頭に迷うこともあり得る。そのため、労働者は使用者に迎合することになる。

しかし、それでは立場は弱いままだ。だからこそ、「労働組合」という集団をつくり、集団の圧力によって使用者と対峙しようとしたのである。

「企業別労働組合」が圧倒的に多い

「企業別労働組合」とは、特定の企業またはその事業所を組織単位とした労働組合のこと。日本を代表する企業、例えばトヨタ自動車や松下電器産業などにも必ず労働組合がある。

従来の日本的雇用の考え方では、終身雇用がメインであり、転職は一般的ではない。そのため、企業別に労働組合を結成したほうが都合良いのである。企業別労働組合の場合、企業に雇用された段階で事実上企業別労働組合に加入することになる。

こうした加入の仕組みを取っているにもかかわらず、近年、労働組合の組織率は徐々に低下している。いったいなぜだろうか?

「労働組合」の組織率が低下している理由

主な理由は「非正規従業員の増加」だ。労働者派遣法ほかさまざまな法律改正により、企業において非正規従業員を活用することが普通になった。かつて、正規従業員が担当していた仕事の多くを非正規従業員が処理しているのが実態だ。

非正規従業員は、非正規であるがゆえに、勤務先企業への興味、関心が低い。当然、組合活動についても自分に関係のないこととして捉えているケースもある。

それに、労働組合の組合員である正規従業員が非正規従業員を組合員にしようとはあまりしない傾向にある。こうした「非正規従業員の増加」に伴う諸要因が重なり合って、組織率が低下しているのだ。

組織率は、1940年代後半には50%を超えていたものの、現在は20%を割り込むまでに落ち込んでいる。

大半の中小企業には「労働組合」がない

大企業を中心に「企業別労働組合」がある従業員は労働条件を使用者と協議できることから、立場は安定するだろう。

一方、中小企業の場合は労働組合の組織率は3%以下に留まっているというデータもあり、労働組合の恩恵を得られそうにもない。

労働組合がないということは、使用者の無理な命令もまかり通る可能性があるという話だ。労働組合のない企業は、ブラック化しやすいという話を耳にするが、あながち外れてはいない。

ちなみに、筆者の取材経験では、中小企業であっても「親睦会」や「社員会」などが結成されているケースでは、これらの会が労働組合の役割を兼務していることもあった。

ブラック化するかどうかは、労働組合の有無だけでは決まらない。とはいえ、重要なファクターのひとつと言え、転職を検討する際は「親睦会」や「社員会」についても調べておくと安心かもしれない。

労働組合に加入したい場合は、どうしたらよいか?

中小企業の場合、職場に労働組合がないケースがほとんどだろう。たとえ中小企業に勤務していても、「産業別労働組合」や「職種別労働組合」には個人ベースで加入することができる。

「産業別労働組合」とは、文字通り、産業別の労働組合のことで、正規、非正規問わず加入することができる。

「職種別労働組合」とは、同一の職種である労働者が集まってできた労働組合のこと。介護業界および関連事業にて働く人たちが結集した日本介護クラフトユニオンなどがある。

もし、職場に労働組合がなく、加入したい場合は、これらの労働組合を訪ねてみるとよいだろう。

「働き方」を自律的に決める時代が到来!

終身雇用は今や昔の話。現代においては、いつリストラに遭ってもおかしくはない。一生懸命会社の方針のもと働いていた勤続20年の従業員でさえ、突然リストラされ、路頭に迷ってしまうこともあるのだ。筆者はそんな姿を何度も目撃してきた。

「働き方」は企業に委ねるものではない。自律的に決め、納得できないことがあれば個人で交渉を進めることも必要だ。たとえ非正規従業員であっても交渉することはできる。

そんなとき、労働組合がきっとあなたの味方になってくれるであろう。たとえ企業別労働組合がなくても、一人でも加入できる労働組合が数多く存在している。

労働組合の概要と役割を今一度確認し、自らの職業生活をより豊かなものにしてほしい。

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