
エーバルーンコンサルティング
池松 孝志 代表取締役
【PROFILE】アメリカ留学時代,古着屋のディーラーを経験。 国内の紹介会社を経て、2008年にエーバルーンコンサルティングを設立。 主にエグゼクティブのサーチやM&A案件を担当。
コロナ禍の影響で消費が落ち込んだファッション業界は、インバウンド需要の回復により、2024年に急回復しました。しかしそれをピークに、インバウンド需要の一服、中国経済の停滞、商品の価格高騰といった要因が重なり、2025年は業界全体にとって試練の年となっています。
一方で、流行に左右されず最高級のクオリティーを誇り、熱心なファンを持つ一部のブランドは売上を維持しています。
こうした環境下で、各社は新規カスタマー獲得とローカル顧客の育成に注力しているため、CRM(顧客管理)、顧客向けイベントの企画・運営、データ分析などの採用ニーズが増加しています。リテール分野では近年、KPI分析やデータ活用を軸にした「リテールエクセレンス」の推進が必須となっており、CRMやイベント、リテールエクセレンス経験者は非常に高い需要があります。
待遇面ではこの10年で大きな変化が見られています。例えば同じポジションでも平均年収は約120%の上昇率となり、確実に「サラリーインフレーション」が進んでいるという実感があります。
優秀な人材の採用難は深刻さを増していますが、単にタレントアクイジション・チームを社内に設置するだけでなく、実際に機能させている企業が、比較的スムーズに採用活動を進められています。日頃から業界人材と継続的に接点を持ち続けることが成果へとつながっているのです。
従来は、大手ブランドであれば求人広告だけで母集団を形成できましたが、近年はリテールビジネスの人気が低下しています。
そういったなか、いかにSNSを活用し、エンプロイヤーブランディングを積み重ねられるかが重要です。しかし、採用成功の最大の鍵はタレントアクイジションやブランディング施策だけではありません。企業の顔となる経営トップやデザイナー自らが採用に積極的に関与することこそが、最も効果的な手段であるといえるでしょう。




