【著者が語る】日本人事 人事のプロから働く人たちへ。 時代を生き抜くメッセージ

溝上憲文

日本人材ニュース
溝上 憲文 編集委員・ジャーナリスト

ここに登場する人物は、過去に前例のないさまざまな困難な状況に直面しても、人事という仕事に正面から向き合い、使命感を持って道を切り開いてきた人たちである。経営不振や労使対立の先鋭化、あるいは事業再編や海外進出など会社が直面した困難さはそれぞれ異なるが、その中にあって人事の役割とは何かという原点に常に立ち返り、粉骨砕身の努力を惜しまず、逆境に立ち向かってきた。

本書では、それぞれが人事という仕事に出会い、経営環境やビジネスモデルの変化に対応すべく、決して部分最適に陥るのではなく、経営の方向性を見据えた全体最適の視点で人を活かす道を模索し、格闘してきた軌跡が語られている。

全員に共通するのは、自分がやらなければ誰がやるのか、という人事パーソンとしての揺るぎない信念である。

時には大きなカベに遭遇して失敗し、そこで悩み、苦しむことはあっても、問題の解決を図ろうとする強い意志と実行力で乗り越えてきた。そこには人事パーソンとしてどう仕事に向き合うべきかという決して時代が変わっても色褪せることがない教訓が数多く語られている。

今日ほど人事パーソンの果たすべき役割が重要になっている時はない。日本は世界にも類を見ない高齢国家をひた走っている。労働力人口の減少は自明であり、若者、高齢者、女性が共存できる処遇体系や働き方を模索していかなければならない。また、外ではグローバル化が加速している。

日本人だけではなく、海外の従業員の活用を含めたグローバル人材マネジメントの構築は急務な課題となっている。人事パーソンの力量しだいで会社の帰趨が大きく変わる事態に直面しているといってもいいだろう。本書はそのための強力な羅針盤になるに違いない。

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溝上憲文

人事ジャーナリスト/1958年生まれ。明治大学政経学部を卒業後、新聞、ビジネス誌、人事専門誌などで経営、ビジネス、人事、雇用、賃金、年金問題を中心に執筆活動を展開。主な著書に「隣りの成果主義」(光文社)、「団塊難民」(廣済堂出版)、「『いらない社員』はこう決まる」(光文社)、「日本人事」(労務行政、取材・文)、「非情の常時リストラ」(文藝春秋)、「マタニティハラスメント」(宝島社)、「辞めたくても、辞められない!」(廣済堂出版)。近著に、「人事評価の裏ルール」(プレジデント社)。

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