HRインスティテュート
三坂 健 代表取締役社長
今、人材が各所で不足しています。定年は延長され、再雇用はもはや常識となりつつあります。それでも不足する人材やリソースを補うため、M&Aの増加やAIへの置き換えも進んでいます。この状況において、企業で働く私たちには「どこにいっても通用するスキル」を磨くことが求められます。
実際、こうした変化を敏感に察して転職市場は活況を呈しています。企業側から転職がマイナスイメージで捉えられた時代は終わり、キャリアアップ手段としての認識も定着しています。このように、多くの人が自分の所属する会社や職業の未来を真剣に考え、チャレンジすることは歓迎すべきです。一方で、ただ転職を繰り返すだけでは当然のことだがキャリアアップにはつながりません。
こうした全員が転職するかもしれない、ということを念頭に働く時代を本書では「全員転職時代」と呼ぶことにしました。本書はこの全員転職時代において「どこでも、いつでも必要とされる人材になるために必要なスキルや考え方」を解説するものです。
これからは肩書や経験だけで成果をあげる時代ではありません。その経験から得たスキルや考え方、人脈など、「他に持ち運べるもの」をどれだけ備えているかがポイントになります。
いわば「ポータブルスキル」を鍛えておくことが大切となります。万一、会社がおかしくなっても、ポータブルスキルが備わっている人は場所を変えて活躍できます。
しかしながらこのスキルは一朝一夕に備わるものではありません。スポーツのあらゆる技術と同じように時間をかけ、練習をして身につけるものです。
もちろん日々の仕事こそがスキルを鍛えるトレーニングになるのは言うまでもありませんが、スキルの全体像やコツがわかって、日々自分を鍛えたほうが効率的です。こうした問題意識から、私たちは経営支援や人材育成を専門とするコンサルタントとして培ったノウハウを本書にはできるだけ詰め込んで1冊にまとめることにしました。ぜひ一人でも多くの方のスキル向上に役立つことができたら、と思います。
HRインスティテュート 著
KADOKAWA、1,500円+税
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