リノパートナーズ
細木 聡子 代表取締役
女性活躍推進法が2016年4月に施行されて以降、女性活躍推進が進んでいるかというと、私個人としては「始まってすらいない」と感じています。
女性管理職数を増やした結果、マネジメントに苦悩する女性たちが後を絶たず、良かれと導入した時短やテレワーク制度を利用しようものなら評価が下がり、上司も嫌な顔をする…そんな実態が当社調べ「女性活躍推進2.0実態調査」の調査データからも浮き彫りとなり、ますます危機感を抱いています。
第4次産業革命と言われる変化の激しい現在を日本が生き残るためには、変化に柔軟に対応し、イノベーションを起こす必要があります。その原動力こそがダイバーシティ(多様性)です。そして、そこへ踏み出す第一歩は「女性活躍推進」に違いないと私は考えます。
なぜなら、日本社会はまだまだ男性視点で運用している部分もあり、その中で働く女性は広い意味でのマイノリティであるからです。女性活躍推進の実現なくして、ダイバーシティは達成できず、イノベーションも起きないとなれば、真の女性活躍推進の実現はまさに待った無しの状況です。
私は26年間NTTに所属し、女性管理職として成果を出し、部下育成に取り組んできた10年間から得た答えが「マネジメントにおいては、女性は男性とは違った『コツ』が必要」ということで、無理なくチーム成果を出すメカニズムを1人でも多くの人に知ってもらいたいという想いから、本書「女性管理職のためのしなやかマネジメント入門」の上梓へとつながりました。
特に、女性は男性と比べて自己肯定感が低い傾向にあることは「女性活躍推進2.0実態調査」の数値データ上で証明済みです。
管理職候補のチャンスが訪れても「自信がない」と二の足を踏んでしまうことが少なくない女性たちが、自身の強みを活かし、周囲と融合を図りながら推進力を発揮することで、真の女性活躍推進が広がり、全ての人が安心して成長できる未来を拓く一助となれば幸いです。
細木聡子 著
NTT出版、1,600円+税
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