エンワールド・ジャパン
上原 ジャスティン 経理・会計/サプライチェーン・プロキュアメント部門アソシエイトディレクター
5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、アフターコロナに向けた動きが加速していますが、転職市場においても企業側で積極的な採用活動が再開されただけでなく、求職者側でも多くの人々が転職の動きを見せています。依然、2019 年の水準には達していませんが、市場の伸びはこのまま継続していくと思われます。
この数年で経理・会計分野の人材市場は大きく変化しました。もちろん、これは様々な業界や職種にも当てはまることですが、多くの経理・会計の求職者にとって働き方に対する最重要条件の1つがリモートワークであることは注目に値します。
これは特にスタッフレベルで顕著であり、管理職以上においても同様の傾向があるものの、それほど高い割合ではありません。
この3年半の間に多くの人がリモートワークや在宅勤務に慣れ、今や働き方として一般的なものとなりました。経理系職種の多くは、月次、四半期、年度末のレポート時期に多くの残業時間が発生する傾向にありますが、リモートワークの選択肢があれば、通勤時間の節約などといった負担軽減につながるため、その需要は高いままです。
一方、最近では会社がリモートワークの導入をとりやめ制限したことで、これまでリモートワークの恩恵を感じていた人々が市場に積極的に出てくるケースも多く、リモートワークを導入していない企業では上手く人材を確保できない傾向が見受けられます。
実際、そのような企業の中には採用の成果がなかなか出ず、市場競争力を高めるために再びリモートワークを導入したケースもあります。
ワークスタイルは根本的な変化を遂げており、企業も適応しながら競争力を高める必要があります。時間や場所に柔軟性のある就業環境は今日でも候補者にとって最重要事項であり、対応しない企業は人材獲得の競争において打ち勝てないことは明らかです。企業はこの市場動向を理解した上で、人材獲得、そしてビジネスにとって何が最善であるか検討すべきでしょう。