経団連が実施した「“企業”における社員の姓(氏)の取扱いに関する調査結果」および「“女性エグゼクティブ”の姓(氏)の取扱いに関する緊急アンケート結果」によると、役職員の通称使用を認めている企業は9割に上ることが明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部)
役職員について「通称」を認めているか聞くと、姓だけではなく、名の部分を含め、役職員の通称使用を認めている企業が9割となった。
【役職員について「通称」を認めているか】
婚姻・離婚等で戸籍上の姓の変更があっても従来の姓を利用する「通称」を認めている 81%
姓だけでなく名(例:鈴木花子の「花子」の部分)も自由に選ぶことを認めている 5%
婚姻・離婚等に関係なく、自由に姓を選ぶことを認めている 4%
通称は認めず、戸籍上の姓しか認めていない 4%
その他 5%
通称を認めている会社を対象に「通称」を認めることができない/していないものを聞くと、税や社会保険の手続書類をはじめ、宿泊予約や出退勤簿の名簿等、様々なシチュエーションで通称使用は認めることができない、あるいは認めていなかった。
【「通称」を認めることができない/していないものはどれか】(複数選択可)
税や社会保険の手続き書類の姓 346社
出張時の航空券や宿泊予約時の姓 112社
出退勤簿の姓 72社
人事部門が管理する社員名簿の姓 115社
内線番号表の姓 5社
メールアドレスの一部に姓を入れる場合の姓 9社
(顧客等に対し)資格者であることを示す標識(宅建士等) 120社
契約書や登記など公的な書類上の姓 245社
その他 41社
女性役員を対象に、自社で役職員について「通称」を認めているか聞くと、役職員の通称使用を認めている企業が96%に上った。
【役職員について「通称」を認めているか】
婚姻・離婚等で戸籍上の姓の変更があっても従来の姓を利用する「通称」を認めている 86%
姓だけでなく名(例:鈴木花子の「花子」の部分)も自由に選ぶことを認めている 9%
婚姻・離婚等に関係なく、自由に姓を選ぶことを認めている 1%
通称は認めず、戸籍上の姓しか認めていない 0%
その他 4%
通称を認めている会社に勤める女性役員を対象に、自身は旧姓の通称使用をしているか聞くと、使用している人が32%に上った。
この結果について経団連では「男女雇用機会均等法制定前後の世代が多い現在の女性役員層でも、3割が旧姓を通称使用。若い世代では旧姓の通称使用がより浸透しているものと考えられる」と指摘した。
【自身は旧姓の通称使用をしているか】(択一)
戸籍姓を使用している 54%
旧姓の通称使用をしている 32%
その他 14%
その他の回答(抜粋)
・未婚
・旧姓を通称使用していたことがある
・国際結婚をしており、合法的に別姓婚
・事実婚
「旧姓の通称使用」が可能である場合でも、新姓への変更手続きをはじめ、戸籍上の姓の変更に伴い、何かしら不便さ・不都合、不利益が生じると思うか聞くと、88%が何らかの不便さ・不都合、不利益が生じると回答した。
企業等を対象とした調査は、2024年5月9~23日、経団連会員(1741件)を対象に実施し、377件の回答を得た。
女性エグゼクティブを対象とした調査は、2024年5月9~23日、経団連 女性エグゼクティブ・ネットワーク登録女性役員288人を対象に実施し、139人の回答を得た。