2024年下半期の転職市場は、半導体需要やインバウンド影響などを受け、12分野で求人が増加・好調を維持

人材サービスのパーソルキャリア(東京・千代田、瀬野尾 裕社長)がまとめた「転職市場予測2024下半期」によると、2024年下半期の転職市場は、15分野のうち12分野で求人が増加・好調を維持すると予想されている。(文:日本人材ニュース編集部

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2024年下半期の転職市場全体における求人は、15分野(7業種、8職種)のうち12の分野で求人が「増加」または「好調を維持」と予想しており、引き続き転職の機会が広がる見込みとなっている。

この要因についてパーソルキャリアは「これまで求人数の増加を後押しする一因であった、コロナ禍からの“リバウンド需要”は落ち着くものの、慢性的な労働力不足に加え、半導体需要やインバウンドの影響」と指摘する。

また、企業の動向について「売り手市場に伴い、企業間での人材獲得競争は激化している。そのため、企業は採用に注力するだけでなく、社員満足度を高め、定着率向上(離職防止)を図る動きが活発化していく」とみている。

具体的には
①はたらく時間と場所の選択肢を広げる
②社内異動やスキルアップの機会を提供する
③評価制度や中途採用時の提示年収を見直す
といった工夫により、個人が望むはたらき方やキャリアを叶えられる環境づくりに工夫を凝らす企業が増えていく予想だ。

【分野別予測】
営業…コロナ禍からの“リバウンド需要”の動きは2023年ごろから顕著になり始め、採用が落ち着いた企業が一部出ているものの、2024年下半期も採用に積極的な企業が多い

人事…「長期的な視野で人材獲得に注力する企業の増加」、「採用人数の拡大と人事体制の強化」、「働き方改革による人事制度の策定・改定」の3つの原因により、人事の求人数は、上半期に引き続き好調で、増加

経理…売り上げが回復し始めた企業が多いことから請求書処理や売り上げ管理などの経理業務の負担が増え、体制を強化しようとする動きが高まっている

法務…コンプライアンス順守やリスク管理が重視され始めていることや、SDGsに関連してコーポレートガバナンスの強化に取り組む企業が増えていることを受け、需要が高まっている

企画・マーケティング…上半期から大きく変わらないと予想される。特に経験者のニーズは高くなる見込み

クリエイティブ…求人数は上半期と変わらず、引き続き高い水準を保つ。中でも、UI/UXデザイナーのニーズが高い見込み

IT・通信(ITエンジニア)…コンプラ対応やAI導入で求人数は引き続き好調と予想

電気・機械エンジニア…少子高齢化による人材不足をはじめ、団塊ジュニア世代の引退を見据え技術継承可能なミドル層への需要増が生じていることや、景気動向が堅調なことなどから求人数は増える

化学・素材…半導体やEV自動車の生産を背景に求人数は増加

不動産・建設…求人数は引き続き高い水準と予想されるものの、さらに増加が続くわけではなく、高止まりの状況となる見込み

販売・サービス…外食や中食、小売り全般などの業界でコロナ下から平常時へ移行する中、店舗拡大など組織フェーズの変革の機運が盛り上がり、増員募集をかける企業が多数あるなど求人数は増える予想

金融…大手金融機関ではバブル世代の定年退職が始まっており、その数は今後ピークに達する。そのため、企業は20~30代の働き盛り世代や、マネジメント層候補となる人材の採用に積極的に取り組み、求人数は増える

メディカル(医療業界)…求人数は上半期と変わらない見込み

事務・アシスタント…求人数は上半期と変わらず横ばい状態が予想される

食品…求人数は引き続き増加、または上半期と同水準になると予想される。欠員募集の採用や、少子高齢化に伴い新卒採用だけでは人員が確保できないため、業界全体として中途採用に力を入れ始めている

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