【新卒採用】「自社らしさ」が刺さる学生を明確にし、練られたコミュニケーションが必要

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滝澤 亮太 就職支援事業部コンサルティングDiv シニアマネージャー

【PROFILE】2009年に大学卒業後、人材関連のコンサルティングを行う会社へ入社。入社後は人材要件設計、面接官・リクルーター研修、新卒採用業務のアウトソーシングなどを経験。大手企業様を中心に新卒採用全体設計を手掛け入社3年目にして最年少でマネージャーへ昇進。

直近の新卒採用市場では、採用活動全体の早期化が顕著に進んでいます。2026年卒学生においてもこの傾向は継続し、3月末時点での内定保有率は年々10ポイント単位で上昇しています。

早期化に伴い学生の就職先の検討プロセスは「夏季休暇のインターンシップで企業との接点を持ち、そこで志望先を絞る」というケースが増えています。

企業側は大学3年生の夏の段階で優秀層との接点を確保し惹きつけることが、採用競争上ますます重要になっています。一方で人気企業のインターンシップは参加枠が限られており、抽選に漏れるなどして、思うように活動を進められず苦慮する学生の声も聞かれます。

また売り手市場の中で学生の企業選びの軸も多様化しています。「初任給の高さ」や「転勤がないこと」といった条件は依然として根強く、それ以外の希望条件も個々の価値観によって多様化が進んでいます。

そのため、新卒採用の成功には夏からの能動的な認知獲得がもはや不可欠である一方で、採用イベントがあふれる中で重要になるのは体験の質です。

ここでいう質とは「面白い」「盛り上がる」といったその場の満足ではありません。企業の「自社らしさ」が明確に伝わり、参加した学生がその企業で働く自分を明確に思い描けるようなストーリーがあるかどうかが決め手になります。

学生の行動や志向が多様化しているからこそ、一般的な傾向に迎合するのでは不十分です。まず「自社らしさ」が刺さるのは本当は誰なのかを突き詰め、ターゲットを明確にすることが求められます。

その上で練られたコミュニケーションこそが、選択肢を多く持っている優秀な学生に「ここで働きたい」と最終的に意思決定させるキーになります。

特に採用力に課題を感じる企業の場合は「採用目標数をこなす」という量的な視点に偏重せず、一人ひとりの学生とのマッチングをいかに丁寧にデザインしていくかという質的な視点が、より一層重要になるでしょう。

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