専門スキル人材の不足、働き方の多様化などの環境変化を受けて、ジョブ型人事を導入する企業が増えている。ジョブ型人事は、正しく運用できれば、市場環境変化への適応力の向上、主体的なキャリア形成による人材のスキルアップなどのメリットがある。しかし、実際には“導入”よりも“運用”のほうがはるかに難しい。Job-Usは、400社以上とのやり取りの中で、ジョブ型人事の導入後に制度が形骸化する失敗パターンを突き止めた。ジョブ型人事が定着しない原因を踏まえて、制度を本質的に機能させるステップを解説する。
ジョブ型人事が現場で機能しない本当の理由
陥りやすい“制度だけ導入”の落とし穴
「ジョブディスクリプションを作成したが、その後は放置されている」「社内でジョブディスクリプションがほとんど認知されていない」「ジョブ型の制度自体は導入したが、現場の運用に結びついていない」こうした声がジョブ型人事を導入した企業から頻繁に聞かれる。
Job-Usが400社を超える企業との対話から見てきたジョブ型人事の共通課題は、「ジョブディスクリプション(職務記述書/以下、JD)やジョブ型制度そのものが社内に浸透せず、結果的に形骸化してしまう」という点だ。
ジョブ型人事は、単に制度として導入しただけではうまく運用に乗らない。現場での実践と継続的な運用を可能にする仕組みが必要だ。当然ながら、ジョブ型人事は、JDを作成することが目的ではない。
ジョブ(職務)を起点に、経営戦略や組織構造と人事施策(等級、報酬、配置、育成、評価など)を一貫して接続することが本来の狙いだ。
これを意識せずに“形式的に”制度を導入すると、制度が空回りする。ジョブ型人事は、むしろ「制度」ではなく「設計思想」であり、この認識の有無が成功と失敗を分ける。
形骸化を招く“運用の谷”─「曖昧運用期」の実態
導入後の失速を防ぐために越えるべき壁
ジョブ型の導入フェーズは、①導入期/②曖昧運用期/③本格運用期の3段階に分けられる。
①の「導入期」は、各ポジションのJDの作成、人事制度の設計などを行う初期段階、③の「本格運用期」は、ジョブ型人事制度全体と連動してJDが活用されている理想の状態だ。
この①と③の間にあるのが、②「曖昧運用期」となり、ジョブ型制度は導入されているものの、現場で活用されていないフェーズを指す。この曖昧運用期を、Job-Usではジョブ型人事の「運用の谷」と呼んでおり、多くの企業がこの「運用の谷」でとどまってしまう。
運用の谷を越えられずジョブ型人事が形骸化する最大の理由は、ジョブ情報(JD)が“使える”状態になっておらず、各人事施策と分断されているためだ。JDは作成自体に多大な工数がかかり、作成することが目的になりやすい。
しかし、単に作成して終わりではなく“質”と“鮮度”を保つ必要がある。人事施策に使える形式・内容で整備されていなかったり、情報が古くなっていれば、ジョブ型制度の運用に結びつかない。
曖昧な運用を続けると、そのまま形骸化の道に進む

“使える”JDを組織に定着させる4ステップ
AI活用で「制度」から「運用」へ
ジョブ型を本質的に機能させるには、質の高い“使える”JDの設計・作成から始めなければならない。
具体的には、①JDの活用イメージの策定/②活用に合ったJDの設計/③AIを活用したJDの作成/④JDの活用フローの実装の4ステップで行う。まず、JDをどの人事施策に活かすかを策定する。
職務評価への活用、人事配置や育成への活用など、あらかじめ具体的な活用イメージを策定し、JDの作成が目的化するのを防ぐ。活用イメージの策定後、記載する項目やスキルの粒度など、活用目的に合わせたJDのフォーマットを整理する。
内容や粒度を統一して均質化することが重要だ。この2ステップの実行後に、AIを活用してJDを作成する。ポジション数が数十程度で、本社人事のみで作成を完遂できる場合は、ChatGPT等でも作成ができる。
JDが作成できたら、ジョブ型制度に連動させるための更新ルールを仕組み化していく。
ジョブ型が機能する“使える”JDは、4ステップで作成・運用する

“鮮度”を保つメンテナンス体制がジョブ型の生命線
JDの更新ルールを仕組み化する
JDは、質だけでなく鮮度管理が欠かせない。JDの更新時期のアラートやバージョン管理など、情報を最新に保つ仕組みの構築が重要だ。
定期更新のルール化(期初や半年ごと、中期経営計画策定時の更新)、不定期更新のルール化(人事異動や組織改編時の都度見直し)、更新の自動検出&アラート(ルールに基づき更新対象のJDをリスト化、担当者への自動通知)、更新状況の一元管理&リマインド(更新進捗のダッシュボード化、リマインドによる対応漏れ防止)などを仕組み化することではじめて、JDが現場で“使える情報”として機能する。
設計から運用までを支えるジョブ型の統合基盤を
“運用される”ジョブ型の実現
高品質なJDを作成し、更新ルールを実装したうえで、ジョブ型人事を本格的に運用するにはツールによる仕組み化が不可欠になる。
「Job-Us(ジョブアス)」は、AIを活用して質の高いJDの設計・作成から更新、ジョブ型人事の運用まで一気通貫で実現できるクラウドサービスだ。社内に多数のポジションがある場合や人事部門だけではJD作成が困難な場合に、Job-Usの活用が非常に有効だ。
「Job-Us」利用企業(一部掲載)






