LCC
塚田 篤 代表取締役社長
司法制度改革からの約10年で、企業内弁護士は着実に増えてきました。企業側の評価も良好で、若手・中堅の法務職採用は有資格者が主流です。
求人ニーズとして多いのは、海外関連のM&Aや契約交渉の経験者です。高い語学力も必要とされるため、人材は奪い合いです。それ以外で最近少し目立つのはコンプライアンス関連の求人です。これまでそれほど人気がなかった分野ですが、フィンテックに取り組む上で金融庁とのやり取りや規制への対応が必要になるため、金融機関だけでなく、新たに金融分野への参入を目指す異業種やベンチャー企業からも専門人材のニーズが出ています。
近年の企業内弁護士の採用は、司法修習後に弁護士事務所を経ないで企業へ就職したり、弁護士事務所から企業へ転職する若手・中堅の増加に支えられてきました。ところが、近年の働き方改革の影響で社内の法務業務を弁護士事務所にアウトソースする企業が増加し、若手・中堅の弁護士が転職を考える余裕すらない多忙な状況となり転職活動がやや鈍化しています。
また企業内弁護士の実態についての情報が色々と入ってくることも増え、転職をより慎重に考える弁護士もいます。候補者が非常に限られている専門職種ですので、一定以上の給与水準が採用競争力のベースになり、実際に候補者が希望する水準は上昇傾向にあります。ただ、弁護士事務所の仕事はハードワークで、特に顧客獲得のプレッシャーが大きいため、潜在的に企業への転職を考えている弁護士は少なくありません。企業の給与水準に対する理解も進んできており、配偶者の出産で転職を考える男性も増えています。
弁護士の転職活動は、積極的に転職サイトに登録したり直接応募する人は少なく、知り合いを通じて紹介されたエージェントに相談し、自分に適した求人が出てきた場合に声が掛かるのを待つのが大半です。そのため、効率的で精度の高い採用を実現するためには、求める専門知識や経験を明確にし、法務職専門のエージェントに候補者を探し出してもらうことが必要です。