プロコミット
清水 隆史 代表取締役社長
ベンチャー企業の求人動向と関連がある東証新規上場数は、2013年54社、14 年77社、15年95社、16年85社となっています。引き続き、以前に比べ高い水準にあるものの久しぶりの前年対比減となっています。
もちろん、ブレグジットや米大統領選など、マーケット全体に不安定要因があったことから、IPOを先送りした企業もあると思われますが、注視が必要です。
しかしながら、ベンチャー企業の求人市場では大きな影響は見られません。需要過多の状況が続いており、実質的な求人充足率は十分とは言えない水準に留まっています。
特にスタートアップと呼ばれる会社からは、質、数ともに高い採用ニーズが寄せられています。ポジションとしても、CFO、CTO、CMOなど、経営幹部候補をはじめとして、職種を問わず広く募集がなされています。
年収面でも、大手企業と遜色のないオファーを提示する企業も現れており、ここ数年の大きな流れで見ると、ベンチャー企業への人材の流動は確実に高まっています。
ただし、人材供給源である大手企業やプロフェッショナルファーム自体の業績も好調であり、十分な人数が転職市場に出ていないことから、今後も需給ギャップは埋まりづらい状況が続く見込みです。
そのような環境下において、採用企業にも、候補者にも、いくつかの変化が見られます。採用企業では、スキルマッチに対する要求を下げる傾向がみられます。
具体的なスキルマッチを過度に重視して絞り込みすぎると候補者が残らず、採用計画を満たせないことが背景にあります。ポテンシャル面を広く見ることで、入社後に「伸びる候補者」「順応可能な候補者」を採用しようというシフトが見られます。
求職者の変化では、正社員として一社にフルコミットするだけでなく、副業やリモートワークなどの多様な選択肢があるように見えるため(実質は一部企業に限られますが)、志向、志望が多様化しています。
採用企業は、こうした候補者の希望を受け容れて採用するか、難しい判断が迫られています。