パルトネール
麻野 進 代表取締役
各々の企業で取り組みが本格化した「働き方改革」。「20時になったら強制消灯」「ノー残業デーの徹底」などの施策によって残業時間の削減という一定の成果が見え始め、厚労省の統計でも前年同月比で残業が減少しています(同時に、手取り収入も減少)。
一方で、マネジメントの現場から「人事部の自己満足では」と揶揄されることも少なくありません。
それもそのはず、多くの企業では「働き方改革の目的」が不明確なまま、「残業時間削減」というKPI目標が掲げられただけで、取り組みが始まってしまったからです。
目指す“働き方”を見据えない中で、やみくもな時間削減は逆効果の可能性すらあります。
例えば、私のクライアントの社員からこういう話を耳にします。「今は頑張って時間をかけても仕事を学ばなければならない時期なのに、20時に強制的に帰れと言われると、自分の成長に不安を感じる。若者だからと言って皆がワークライフバランスを志向しているわけじゃない」(20代一般社員)、「法令順守のための残業抑制は理解しているが、生産性の向上について会社はどう考えているのか」(40代管理職)、等々。
経営者、管理者、人事部そして社員個人も、残業時間の削減方法に頭を悩ませているわけではありません。自社・自組織そして自分が目指すべき“働き方”を模索しているのです。
本来会社が目指したい“働き方”は「成果向上のドライバー」となるものであり、自社・自組織・自身にとってのドライバーをしっかりと見定めることにフォーカスすべきなのです。一部の企業ではそれに気づき、働き方改革第二幕に取り組んでいます。
著書では働き方改革の当事者である管理職に知ってもらいたいノウハウを紹介していますが、実は私がコンサルタントデビューした25年前にホワイトカラーの生産性向上というテーマで労働時間改善に取り組んだ事例がベースとなっています。
当時は「働き方改革」という言葉なく、「生産性の向上」だったため、効率化して削減された時間は別の付加価値の高い仕事に取り組んでいたので、総労働時間は変わりませんでしたが(笑)。
麻野進 著
ぱる出版、1,400円+税
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