MS-Japan
窪塚 勝則 コーポレート事業部 チーフキャリアアドバイザー
昨今、多くの企業が収益改善を図り、新たな設備投資や事業拡大を背景に人事求人が増加しています。東証一部上場クラスの業界大手、大手資本系列の子会社、中堅企業、新興市場の上場企業、株式公開を目指すベンチャー企業まで、全体感として採用需要の高さがうかがえます。
背景には企業コンプライアンス、コーポレートガバナンスの強化など社会的な動きもあり、組織体制の強化を急ぐ成長期にある企業や長らく採用活動をストップしていた企業を中心に積極的に動きをみせています。
求人の特色は、組織状況に応じて「採用・教育」「労務管理」「人事企画・制度」の主に3つの領域のいずれか、あるいは全領域でマンパワーの強化を図るべく増員採用をかけている傾向が見られます。
とりわけ「採用」と「人事企画・制度」に関する求人の伸びが大きく、新卒・中途採用に関する経験者はもちろんのこと、ポテンシャル枠の広がりから人材業界での営業・カウンセラーの経験を生かした人事採用スタッフへの転職も増えています。
一方、既存の人事の仕組みやルールの見直しを図る、新しい制度を導入したい企業ニーズの高さから、管理職クラスを想定した人事求人が大きく伸びを見せています。また、「労務管理」の求人では、給与・社保などのスキルがあれば比較的マッチングしやすい傾向があります。
一般的に大手企業の採用選考ハードルは高く、狭き門となっていることから、その転職可能性を考えると選択肢の多い中堅企業あるいは成長中のベンチャー企業で幅広く人事知識・スキルを積める機会を希望してキャリアアップを図る方が多く見受けられます。
以前の状況と異なり、転職を希望する求職者数よりも求人数が大きく上回っていることから、企業の人材獲得は容易ではなく、その対象範囲を広げざるを得ない状況にあるといえます。一方で、人事の転職において職務遂行能力以上に企業文化・風土とのマッチングが重要視され、結果として厳選採用となっています。