【自動車分野の中途採用】派遣社員や下請け企業の技術者を正規雇用する動き

ビジネスキャリア マネジメント
瀧田 淳雄 シニアコンサルタント

当社が主力として扱っている自動車や機械、半導体関連の技術者に関する最近の求人動向については、これまで実際上35歳位までに限定されていた求人条件が、年齢に見合った経験とスキルがあれば、40歳あるいは45歳位までを選考対象として広げるようになってきました。

多くの求職者が希望する最終品を製造したり上流工程から開発を行ったりしている大手メーカーでは、子会社やベンダーの社員を含めた開発チームを率いたプロジェクトの管理ができるようなリーダー経験者であれば、近い将来に管理職登用を前提とした積極採用を行っています。

候補者側に目を向けると、就職氷河期とされる1993年から2005年に大学を卒業した人たちは現在、33歳から45歳前後になっています。

この世代の多くは、非正規雇用や特定技術者派遣といった立場で地道にキャリアを積んではきたものの、頭打ちとなった待遇や将来への不安などの悩みを抱えてきました。こうした人材を当社ではダイヤの原石のように見ていましたが、求人企業からは敬遠されてきました。

しかし、最近では採用年齢の幅が広がるとともに、派遣社員や二次請け、三次請け企業の社員として働いてきた技術者を正規雇用する企業の動きが出てきました。中でも大手企業の開発や生産の現場で仕事をした経験を持つ人たちは特に有利となっています。

全ての業種・職種で言えることですが、様々な分野の仕事を器用に引き受けてこなしてきた人よりも、一貫性のある仕事をしてきた人の方が選考通過しやすい傾向が顕著です。総じて見ると、好調な業績を背景にさらなる成長と技術革新を図る大手メーカーが、一時期外注していた開発業務の多くを社内開発に戻す動きがあります。

また、製造に関しても同じく内製化を進めている状況が求人案件の内容から感じ取れます。いつの時代も共通していますが、大手企業・人気企業が優秀な人材の囲い込みをする中で、それに遅れを取らない対応と優秀な人材を引き留める施策が人材確保と企業力強化のために重要となっています。

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