フェリックス・パートナーズ
宮下 篤志 代表取締役
事業再生や改革というと、コストカットや資産売却、そして大量の人員整理といった負のイメージが先行しがちであるが、決してそうではない。それは、元の状態に戻すことではなく、新しいものを生み出していく創造活動なのである。
本書は、企業の再起に向けた新たな創造活動として「改革」があることを、様々な角度からご紹介している。
企業を永続的な発展に結びつけるためには、戦略(真に勝つ仕組み)を構築し、それを現場で適宜修正しながら実践の中で練り上げる必要がある。その時重要な役割を担っているのが、現場の最前線に立つミドル層である。
しかしながら、激変する外部環境・コンプライアンスへの対応、さらにはトップからの戦略策定指示とその執行責任など、すべてがミドルの肩にのしかかり、戦略不在と実行不全が起きているのが現実である。そして、筆者がいくつもの切羽詰った事業再生の現場で見てきたのは、「閉塞感」に苛まれ、やる気をなくしたミドル達の姿である。
本書は、改革の必要性を感じながらも、膨大な課題を前にして立ち尽くしているミドルの人を始め、近い将来にリーダーになる使命感にあふれる人たちに向けて、「実践から学ぶ」視点を持って組織を変革していく方法を記している。
読者の皆様には、改革活動において、「人々はどのように実践に移していったのか」「失敗事例からは、何が足りて、何が足りなかったのか」について、特にお考えいただきたいと思っている。
複雑な現実に対処できる組織は、「共に始めて」「共に実践し」「共に感じて」「共に学び」「共に創る」ことで成長を続けていくことができる。今まさに、「実践の力」が試されている。読者のお一人おひとりが、再び勇気を出して、日本再生に向けて歩む契機になればと切望している。
宮下篤志 著
プレジデント社、1575円