「上司と合わない」「給料が安い」など、会社や仕事に不満があると転職したくなりますよね。でも勢いで転職してしまうのは考えもの!タイミングを間違うと面倒が起こったり、不利になったりすることもあるんです。今回は、転職に適したタイミングについて考えてみましょう。
1.転職時の年齢によって求められるレベルが異なる
企業の募集要項に、「25歳未満」「35歳未満」などと年齢制限が設けられていることがあります。これは、その年代によって求めるスキルやレベルが異なっているためです。
24歳までの募集は、いわゆる「第二新卒」と言われる時期。スキルや専門性の高さは求められておらず、基本的なビジネスマナーが身に付いていればOK、というレベルです。
一方、25歳を超えた中途入社社員に求められるのは、ズバリ『即戦力となりうるかどうか』。転職にあたって自分のキャリアを棚卸したときに、自分の実績として語れることがあるか、人より勝っている高い専門性があるかなど考えてみましょう。
35歳を超えるとハードルはさらに高くなり、管理職としてのマネジメント能力を見極められるようになります。
逆に、若くしてマネージャーとしての高い実績を上げている方などは、スムーズに転職することができたり、ヘッドハンティングされたりということもあるかもしれません。
このように、たった1年という年齢の差でも求められるスキルが大きく変わることもあるのです。区切りの年齢が近い方は、意識して転職スケジュールを組むべきでしょう。
2.転職活動や退職は何月にすべき?
1年間の中でも、転職活動に適したタイミングや、避けるべき時期があります。
求人の多い時期がねらい目
一般的に企業では、新年度が始まる4月、および下半期がスタートする10月に向けて、人員を確保するため採用活動を行います。ですから、求人数が増えるのは2~3月および8~9月ということです。この時期の転職活動に乗り遅れないよう、準備を進めておくといいでしょう。
一方で、中小企業は欠員補充が基本となるので、季節に関わらず好条件の求人を出すことがあります。
また、競争倍率の高い時期を避けて転職活動をした方がいい結果が得られる場合もあるので、自分の適性や働きたい職場のイメージを考えてタイミングを決めましょう。
退職の申出はボーナス後がベター
ボーナスをもらった直後に退職…ということができれば最も効率がいいのですが、企業によっては「退職を申し出たことによって賞与が減額された」という例もあるので注意が必要です。
賞与の役割には、「実績評価」や「企業の成果還元」のほか、「将来への期待」も含まれています。そのため、「退職が決まっている者には今後の貢献が期待できないから、その分をカットしよう」と考える企業もあるのです。
実際、2割カットが認められた判例もあります。
ボーナスを満額もらいたいのであれば、賞与後に退職を申し出るのがおススメ。もちろん、「もらい逃げだ」なんて言われないように、ボーナス直後は避けるとともに、引継ぎなどすべきことはきっちりと丁寧に行うよう、心に留めておきましょう。
「12月31日無職」は避けよう
12月31日時点で会社に勤めているか否かが問題となるのは、「納税」においてです。
所得税の金額は、1月1日~12月31日までの所得に応じて決められます。
12月31日時点で企業に勤めていれば、勤務先が所得税を計算し年末調整を実施。
年内に転職をした場合は、前に勤めていた会社から発行された源泉徴収を元に、転職先の会社が年末調整を行います。
ところが、12月31日時点でどの企業にも属していない場合は、「1月1日~12月31日までの所得を把握できない」ということになるのです。
その場合、あなた自身が源泉徴収票をもとに確定申告を行わなければなりません。
例えば、「退職日が12月31日」の場合は会社で年末調整をしてもらえますが、「退職日が12月30日」の場合は自分で確定申告を行うことになります。
年内に再就職するか、年明けに退職するかタイミングを調整し、確定申告の手間を省きましょう。
3.勤続年数も重要視される!
少なくとも日本では、職を転々とすることはよくないこととされています。
履歴書を見て、数年単位で転職を繰り返していることがわかれば、「こらえ性がないのではないか」「人間関係がうまく築けないのではないか」など、ネガティブな印象を与えてしまうことでしょう。
今の職場が肌に合わない!と感じた時も、勤続年数が短いうちは勢いで辞めてしまわないように注意してください。せめて3年は勤続できるように、頑張ってみませんか?
ジョブホッパーにならないためにも、転職先は慎重に選ぶことが大切です。
10年勤続で失業給付日数が変わる
勤続年数でもうひとつ注意したいのが、失業給付金の支払われる日数が、勤続10年を境に変わるという点です。
自己都合で退職した場合の失業給付金は、勤続1年以上~10年未満では90日間しか受けられないのに対し、勤続10年以上~20年未満では120日間受けられます。
もちろん失業期間は短い方がいいのですが、万が一の場合を考えると、給付金は長くもらえた方が安心ですよね。
長く勤めた会社を辞めるときは、勤続10年という区切りを意識して退社日を決めましょう。
4.「キリがいい所」を見極め円満退社をめざそう
即戦力を求められる転職活動では、内定が決まれば「できるだけ早く来てほしい」という企業がほとんど。なかなか退職できずにモタモタしていると、せっかくの内定が取り消されてしまうことだってあり得ます。
スムーズなスタートを切るためには、円満に退社できることが必須なのです。
迷惑を掛けずに退職するためには、繁忙期と重ならないよう転職活動のスケジュールを調整することが大切。ただでさえ忙しい時期に、後任者を探したり引継ぎをしたりするのは大変なことです!
「引継ぎが終わらず退職できない…」なんてことにならないようにしましょう。
同様に、あなたが中心となって進めているプロジェクトを途中で投げ出すようなことも避けたいものです。
期間が決まっているものならプロジェクト終了まではやり遂げる、終わりが見えない事業でも、キリのいい所まではきちんと整理するなど、自分が抜けた穴が極力小さくなるようなタイミングで転職をするように心がけましょう。
昇進と転職のタイミングは?
「管理職になって責任が重くなると辞めづらくなりそうだから、昇進前に転職したほうがいいのではないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、30代中盤からの転職ではマネジメント能力も問われることとなります。つまり、管理職としての経験があった方が、転職活動が有利になるんです。
もし昇進しそうな兆しがあるのなら、転職はちょっと待ちましょう。管理職として数年経験を積んだ頃がちょうどいいタイミングです。
5.ライフイベントと転職の関係は?
住宅購入や出産など、あなたの私生活での大きな出来事に、転職が大きく関わってくることがあります。「失敗した…」と後悔しないように、転職のタイミングをしっかりと計りましょう。
住宅購入は転職の前に!
「退職金を頭金にして住宅を購入したい!」と考える方もいらっしゃるようです。しかし、失業中はもちろんのこと、転職が決まっても、転職直後は住宅ローンの審査が厳しいことを覚えておきましょう。
なぜなら、民間金融機関による住宅ローンは、融資の条件のひとつに「勤続年数」を挙げていることが多いからです。一般的には勤続3年以上が融資条件となっています。
もちろん、その他のアピールポイントにより転職直後でも融資を受けられる場合もありますし、フラット35のように勤続年数が審査基準になっていない住宅ローンを利用することも可能です。
しかし、多くの選択肢の中から選びたい場合には、勤続年数の長い転職前に住宅ローンを組むことをおすすめします。
転職後すぐには育児休暇が取れない点に注意!
結婚している女性の方は、転職と出産のタイミングについて悩むところではないでしょうか。
ポイントは「育児休業取得」です。
申請すれば必ず取得できる「産前・産後休業(産休)」とはことなり、産後の「育児休業」に関しては多くの企業が「入社1年未満の従業員に関しては育児休業の申出を拒むことができる」と労使協定で定めています。
つまり、転職してから1年以内に出産した場合、育児休業が取れない可能性もあるのです。
では、出産後に転職をすればいいのかというと、そう簡単なものでもありません。
「残業できない」とか「時短勤務したい」という状況で転職活動をするのは、残念ながら明らかに不利となります。
そもそも仕事と子育てを両立しながら転職活動の時間まで捻出するのは、あまりにも大変なことです。
とはいえ、一度退職してしまえば、子供の保育園を継続できなくなってしまうこともあり得ます。
ですから、結婚している女性が転職をするのであれば、しばらくは仕事に専念するというスタンスで臨むべきです。
新しい職場で人間関係を築き、仕事でもしっかり成果を残せるようになってから、出産について考えていきましょう。
タイミングを見極めて転職を成功させよう!
ちょっとしたタイミングの違いで、転職活動が有利/不利になったり、もらえるお金が変わってしまったりする可能性があります。
満足のいく転職をするためには、今この時の状況だけではなく、長いライフプランに基づいてタイミングを決めることが重要です。