【兆】DX推進人材の採用を実現し、事業成長に挑む企業を支援する

DX推進を経営戦略の最優先に掲げる企業は増えているが、プロジェクトを実行できる人材を確保できなければ事業成長は見込めない。DX分野の採用支援で実績を上げているエグゼクティブサーチ会社、兆(きざし)の近藤保代表取締役と石部秀樹パートナーに、企業の人材ニーズや採用事例などを聞いた。

早くからDX分野の人材サーチに取り組まれていますが、DXを推進する企業の最近の人材ニーズを教えてください。

(近藤)私たちは5年以上前から、DXを推進できる人材のサーチに取り組んできました。当初は企業側もAIやIoTで何ができるのかという手探りの状況でしたが、AI・ビッグデータを活用した材料開発、IoTによるスマート工場プロジェクトの推進といったBtoB分野(FA、ロボット、生産技術、製造技術等)が先行し、ITやゲーム、物流、EC、金融機関など、今では業種を問わず依頼をいただくようになっています。

 取り組み始めた当時に比べると、IoTで取得した膨大なデータを扱えるクラウド技術、AIやRPAなどがツールとして活用できる環境が整い、デジタル化の必要性も理解されるようになりました。多くの企業の経営計画にDX推進が組み込まれ、各社においてデジタル化で実現したいテーマが明確になっています。それに伴って、人材サーチの相談においても、ビジネスにより直結する人材の獲得を狙いとするものが中心となっています。

兆 近藤 保 代表取締役

三和銀行(現三菱UFJ銀行) で支店営業、本部でデリバティブ商品の営業推進、全社ウェブビジネスを企画・推進。2000年、大手エグゼクティブサーチ会社に入社。大阪拠点を立ち上げ、西日本責任者、取締役ヘッドハンティング事業部長を歴任。2011年に兆を設立。通算約500件以上のヘッドハンティング実績(うち上場企業の代表取締役ポジションに20件余、取締役・執行役員ポジションで約100件)がある。名古屋工業大学大学院生産システム工学修士。

貴社に依頼される企業は、採用条件を明確にした上で、相談にいらっしゃるのでしょうか。

(石部)私たちの仕事は一般の人材紹介会社とは異なり、求人のスペックシートを受け取るところから始まることはまずありません。経営者、事業担当役員、人事責任者の方から「今度の中期経営計画を実現するために、どのような組織や人材が必要になるだろうか」といった段階から相談をいただいています。

 DX推進人材は3つに整理されます。1つ目は、DX推進のリーダーです。プロジェクト全体を把握して方向性を示すことが役割で、CDO (Chief Digital Officer)の役職を設ける企業も増えてきました。CDO はその会社のビジネスや組織、お客様を分かっている社内の方が本来は良いと思いますが、テクノロジーへの理解も必要なことから、人材サーチの依頼が最近は多くなっています。

 2つ目は、DXエンジニア。AIエンジニアのようなテクノロジーに関して高度なスキルを持つ人材は奪い合いです。3つ目が、DX推進のリーダーとエンジニアをつないで、プロジェクトを成功に導くことのできる人材です。このポジションに能力の高い方を配置できるかは、DX推進のポイントです。

(近藤)クライアントの求めに応じて、いずれのポジションについても人材サーチの依頼をお受けしていますが、大事なのは、クライアントがどのようなビジネスを目指しているのか、何を実現したいのかを十分すり合わせ、必要な人材を見定めていくコンサルティングの能力です。

 DX推進にどのようなバックグラウンドを持つ方がふさわしいのかはクライアントによって異なりますが、ITやテクノロジーのプロフェッショナルに限らず、事業企画やビジネス現場の経験を活かして、DXの構想を持っているような方が望まれるケースが多いです。求職者が中心の転職市場には企業が求めるような候補者はほとんどいませんので、現職で活躍している人材をスピーディーかつ的確に発掘し獲得するためには、専門的なサーチノウハウを持つコンサルタントとの共同作業でなければ困難です。

採用の成功事例として、 紹介いただけるものはありますか。

(石部)DX経営を明確に打ち出している大手食品メーカーから、既存事業のオペレーションの改善や、データを活かした新規事業の立ち上げなどをデジタル化によって加速したいという相談をいただきました。DX推進室のメンバーは社内公募でしたので、一人一人には強い気持ちがあり、やりたいことをたくさん持っているのですが、プロジェクトを実際にどう進めていくか、自社にないリソースをどう得ればよいのかといった壁にぶつかっていました。

 私がヒアリングや分析を行った上で、「DXの視点から取り組みの実現性を的確に評価できる」、「実現に向けた道筋を示せる」という能力を備え、“DXマインド”をメンバーに植え付けられる人材の必要性を経営トップに提案したところ、採用支援を依頼され、人材サーチの結果、最も有力な候補者に私が接触して採用に至りました。

 航空会社では、デジタル化推進プロジェクトのキーとなる人材を採用しています。以前からDXに積極的な企業ですが、全社横断でデジタル化をさらに進めていくためのデータ活用の基盤整備、デジタルツールの導入などについて技術的な知見から方向性を示し、実行できる人材が必要となっていました。情報サービス企業などで数多くのプロジェクトを経験してきた人物を推薦し、入社後はプロジェクトの推進に加えて、DX人材育成や業務に適したシステムのアジャイル開発などが着実に進んでいます。

 半導体製造装置メーカーへは、ERPシステムの全社導入プロジェクトの推進リーダーを紹介しました。グローバル競争を勝ち抜くためには、リアルタイムでデータを収集・意思決定していくことが欠かせず、ERPシステムの導入を決定しましたが、その推進役として、大手メーカー出身の経験豊富な人材を招聘しました。

兆 石部 秀樹 パートナー

三菱UFJリサーチ&コンサルティング、デロイトトーマツコンサルティングを経て、三洋電機入社。人事制度企画やM&A、組織再編プロジェクトに従事後、中国統括会社の人事責任者を務める。大手エグゼクティブサーチ会社で経営幹部、エンジニア等のサーチを手掛け、2012年兆の創業に参画。主に西日本エリアにおいて、事業系・管理系の経営幹部から、研究者、エンジニア、コンサルタントまで幅広いサーチ実績を有する。横浜国立大学経済学部経済法学科卒業。

エンジニアなどの事例はありますか。

(近藤)自動車メーカーからは、自動運転技術の開発に必要なAIエンジニアの依頼を受けています。こうした開発では先端分野のベンダーとの共同プロジェクトが多いのですが、高いレベルの技術を正しく評価できる人材が社内にいないとプロジェクトを主導的にリードできないからです。特にソフトウエアのエンジニアの採用では、GAFAのような世界中のトップ企業とハイレベルな人材を奪い合うことになりますので、当社のようなサーチ会社に依頼されるのです。

 メガバンクへは、デジタル系新規事業推進マネジャーを紹介しています。フィンテックビジネスやデータマーケティングなどを実現するためには、スコアリングモデルの構築やシステム開発、デジタルツールの活用などが必要になります。自動車メーカーと同様、外部の事業パートナーや開発ベンダーと進めていく上で、デジタル技術に関して同じレベルで会話ができ、プロジェクトを推進できる人材が欠かせなくなっています。

DX推進の課題を解決できる最適人材を紹介

●DX推進人材の主なサーチ事例

外部から人材を受け入れていくことに対して、企業の考え方に変化は見られますか。

(近藤)社内の人材だけでは進めることの難しいテーマが増え、DXの遅れに対する経営者の危機感は高まっています。やりたいことは決まっていても実現のノウハウが不足している組織は多く、外部から人材を獲得する企業は増えるでしょう。

 ただ、企業が解決したい課題と候補者の能力や志向が合致しなれば成果は上がりません。また、経営方針や組織風土を含めた総合的な相性も大切ですので、私たちは、企業の課題を明確にして候補者に的確に伝え、相性までしっかりと見極めてから候補者をお連れします。その結果、入社した方が活躍し、さらにメンバーを採用したいという相談はよくあります。プロジェクトの進捗に合わせて、どのような人材を加えていくべきかというアドバイスを求められることも多いです。

難しいDX推進人材のサーチを成功させられる理由を教えてください。

(石部)まず、早い時期からDX人材の開拓に注力してきたことが大きいと思います。すでに500人以上の優秀な人材のネットワークがあり、候補者同士が近しい関係にあることも多いので、そうした方からの紹介によって、接触できる人材はさらに広がっています。また、私たちにはDX推進に向けた人材戦略に関するノウハウが蓄積されています。さまざまな企業のDXの取り組みを見ているため、実際の事例に基づいて組織運営や獲得すべき人材の提案や課題の指摘ができます。

(近藤)私たちは「たまたま候補者が見つかりました」という人材サーチではダメだと思っています。クライアントからの依頼を必然的に成功させていくために、一人一人のコンサルタントが鍛錬していく必要があります。 実は、私たち自身もDXに取り組んでおり、これまでアナログで行っていた業務が自動化され、コンサルタントがより創造性を発揮できる仕事に集中できるようになりました。当社のような小さな組織でもDXの恩恵は大きいので、事業規模の大きいクライアントがDXで得られる成果は計り知れません。DXを推進できる人材の採用を実現し、事業成長に挑む企業を支援できれば嬉しく思います。

兆株式会社

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