東京エグゼクティブ・サーチ
福留 拓人 代表取締役社長
【PROFILE】米国の大学を経て、現地のコンサルティング・ファームにて米国・欧州進出企業のための進出支援プロジェクトに従事。帰国後、オリックスに入社。その後、教育系企業のCHOを歴任。顧問企業での常駐型人事コンサルティング・プロジェクトにも従事。経営会議への定例出席、HR観点からの戦略的助言や経営レベルからの採用・教育・制度設計のコンサルティングもサーチと付随して手がける。2012年10月、東京エグゼクティブ・サーチ社長に就任。
社外取締役・監査役のポジション数は増加傾向にあります。監査等委員会設置会社級の大手企業の引き合いは横ばいで、社外役員経験が豊富かつ大手企業での経営経験を積んだビッグネームの継続的な登用が目立ちます。報酬額に大変差がある傾向も続いていますが平均1200万前後以上です。顔ぶれに大きな変化を感じにくい状況が続いていますが、今後3~5年で少しずつ若返りが進むのではないでしょうか。
一方、中堅中小企業で社外役員を初めて登用する試みに伴う引き合わせが目立つようになってきました。中堅中小では、特徴として営業系キャリアの豊富な方が優先して求められているケースが多いようです。これは経営資源に限りがある企業では社外役員に顧問的要素(営業販路の拡大等)を経営のチェックと合わせて求めている表れではないかと思います。報酬額の平均は300万程度でないかと思われます。
また企業規模に関わらず社外役員の採用の現実としては過去の取引などの知己(いわゆる縁故に近いもの)が縁になっているケースが全体の70 ~80%程度を未だ占めているのではないでしょうか。この比率は過去10年程度見てもなかなか変化していないようです。
本来コーポレートガバナンスを強化するために、経営の透明性向上を期待されての役割な訳ですが、ことに日本ではまだまだ執行側の経営陣としては「煙たがられるほどの厳しい提言」を望んでいないことの現れなのかもしれません。この辺りは今後の経営陣・経営層の若返りなどをきっかけに変化・進化を待ちたいところです。
縁故や過去取引先に拘らなければ、かなり優秀な候補者が相当数眠っている状況です。例えば女性役員候補の不足は変わらず採用の現場で耳にしますが、これは既に社外役員の経験者にオファーが集中する傾向があるためのようです。採用の取り組み方・考え方の再設定で解決できるテーマかと思います。直近の採用難易度は高くありませんので、求人の背景・スペックを整理していただき、エージェント等に相談いただければと思います。