産経新聞社と新卒採用支援サービスのワークス・ジャパンが発表した2026年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「26卒学生が選ぶ就職人気企業ランキング」の調査結果によると、文系総合では伊藤忠商事が4年連続で首位、理系総合ではソニーグループが2年連続の首位となった。(編集:日本人材ニュース編集部)
文系総合ランキングでは、昨年のトップ10では7社を商社・金融業界が占めていたのに対し、今年は商社、メーカー、金融、保険、コンサルティング、航空、不動産と、幅広い業界の企業がランクインする結果となった。
首位の伊藤忠商事は、ビジネスの最前線で活躍する社員との交流を重視したワークショップ型のインターンシッププログラムを展開。具体的な業務内容から失敗談まで、等身大の情報を提供することで、就活生の共感を得た。2位には三菱商事が入り、同社も社員との密な交流機会を設けることで、キャリアイメージの具体化を支援している。
昨年の19位から3位へと大きく順位を上げた損害保険ジャパンは、全国各地での業務体感型ワークショップの実施や、自己分析ワーク、面接対策講座など、きめ細やかな就活支援を行っているが功を奏した形だ。
一方、理系総合ランキングでは、昨年からの顔ぶれに大きな変動は見られなかった。
首位のソニーグループは、2~4週間の密着型インターンシッププログラムや長期有給インターン、ハッカソンなど、学生の興味や技術テーマに応じて選択できる多様なプログラムを用意。また、将来の経営をリードする人材を育成する機会である「ソニーユニバーシティ」を20年以上前から実施し、個の成長をグループ全体の成長へと導いている。
2位のパナソニックグループは550を超えるテーマから選択できる千人規模のインターンシップを展開し、3位のトヨタ自動車は自動車産業の大変革期に対応し、ソフトウェア・IT人材の育成に注力している。
ワークス・ジャパンの調査によると、2026年卒の学生の約90%がインターンシップに参加し、前年比で10%増加。夏のインターンシップを就活のスタートと位置付ける学生が多く、企業側もインターンシップを通じて自社の魅力を伝えることに力を入れている。
各社に共通するのは、やりたい仕事ができるか、多様なキャリアが描けるか、成長環境は十分にあるか、自分に合った働き方ができるかなど、就活生の価値観に寄り添った採用活動の展開だ。
また、優秀な学生には複数社から複数社から早々に内定が出る状況にあり、業界を超えた人材獲得競争の激化によって、企業側には自社の特徴をより明確に打ち出すことが求められている。
今後の採用活動においては、インターンシップでのターゲット学生との接点づくりに加え、参加後のフォロー施策や採用サイトの充実など、より網羅的な視点での選考活動の工夫が重要になる。
調査対象は2026年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生。2024年4月8日~11月30日に就職対策サイト「キャンパスキャリア」やワークス・ジャパン主催の各種イベントでアンケート告知を実施。第1志望から第5志望までの選択方式で志望順位に応じて5~1ポイントを配分して集計。有効回答数:2万2560票。