OFF-JTの教育訓練費1人当たり1.5万円、自己啓発支援費用は0.4万円に増加

厚生労働省の2024年度の「能力開発基本調査」によると、企業が社員1人に対して支出したOFF-JTの費用は平均1万5000円となり、前年度調査と同水準を維持した一方で、自己啓発支援費用は0.4万円となり、前年度の0.3万円から増加した。(文:日本人材ニュース編集部

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調査によると、教育訓練への費用の支出状況はOFF-JTまたは自己啓発支援に支出した企業は54.9%となった。OFF-JTと自己啓発支援の両方に支出した企業は21.7%、OFF-JTにのみ費用を支出した企業は27.7%、自己啓発支援にのみ支出した企業は5.5%。一方、どちらにも支出していない企業は45.1%だった。

OFF-JTに費用を支出した企業は49.4%と、前年度調査(49.2%)とほぼ同水準となった。

OFF-JTに支出した費用の労働者1人当たり平均額(費用を支出した企業の平均額。以下同じ)は1.5万円で、前年度調査と同額だった。

一方、自己啓発支援に支出した費用の労働者1人当たり平均額は0.4万円となり、前年度調査(0.3万円)と比べて増加した。自己啓発支援に費用を支出した企業の割合も27.2%と、前年度(25.7%)から上昇している。

正社員に対する過去3年間(令和3年度~令和5年度)のOFF-JTに支出した費用の実績では、「増加した」(23.5%)が「減少した」(6.3%)より多くなっており、「実績なし」は48.6%であった。

今後3年間の支出見込みでは、「増加させる予定」(37.0%)が「減少させる予定」(1.3%)を35.7ポイント上回っているものの、「実施しない予定」も39.0%と多い。

正社員に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績では、「増加した」(12.1%)が「減少した」(4.2%)より多くなっており、「実績なし」が69.8%であった。今後3年間の支出見込みについても、「実施しない予定」が54.7%と、半数以上となった。

企業が労働者に求める能力・スキルについて、管理職を除く正社員のうち50歳未満では、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」(58.6%)、「職種に特有の実践的スキル」(36.9%)の順で多くなっている。50歳以上では、「マネジメント能力・リーダーシップ」(55.0%)、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」(43.1%)の順となった。

事業内職業能力開発計画の作成状況は、「すべての事業所において作成している」とする企業が13.9%、「一部の事業所においては作成している」とする企業が6.1%で、合わせても全体の5分の1しかなく、「いずれの事業所においても作成していない」とした企業が79.8%と多くを占めている。

職業能力開発推進者の選任状況は、「すべての事業所において選任している」とする企業が10.5%、「一部の事業所においては選任している」とする企業が6.1%で、「いずれの事業所においても選任していない」企業が83.2%と多くを占めている。

教育訓練休暇制度の導入状況は、「導入している」とする企業は7.5%、「導入していないが、導入を予定している」とする企業は9.1%となり、「導入していないし、導入する予定はない」とする企業が83.4%で最多となった。

教育訓練短時間勤務制度の導入状況は、「導入している」とする企業は6.2%、「導入していないが、導入を予定している」とする企業は10.0%となり、「導入していないし、導入する予定はない」とする企業が83.7%で最多となった。

教育訓練所定外労働時間免除制度の導入状況は、「導入している」とする企業は6.1%、「導入していないが、導入を予定している」とする企業は9.6%となり、「導入していないし、導入する予定はない」とする企業が84.1%で最多となった。

これらの制度の導入予定がない企業の理由として、いずれも「代替要員の確保が困難であるため」が最も多く、「制度自体を知らなかったため」、「労働者からの制度導入の要望がないため」、「制度導入のメリットを感じないため」が続いている。

事業所調査では、正社員または正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所は73.8%となった。能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は79.9%で、問題点として「指導する人材が不足している」(59.5%)が最も高く、「人材を育成しても辞めてしまう」(54.7%)、「人材育成を行う時間がない」(47.4%)と続いている。

個人調査では、令和5年度に自己啓発を行った労働者は36.8%で、正社員では45.3%、正社員以外では15.8%となった。自己啓発を行った者のうち、費用の補助を受けた者は42.8%だった。

調査は、令和6年10月1日時点の状況について、令和6年10月1日~31日、常用労働者30人以上の7454企業を対象に実施し、57.2%の有効回答を得た。

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