ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、周囲からの期待を受けることにより、パフォーマンスの向上につながる効果がある、教育心理学における心理的行動の1種です。例えば教師からの期待に応えようと勉強をする、上司の期待に応えようと仕事をするなど前向きな姿勢で望める効果があります。

人は無意識のうちに相手の期待に応えようとしており、その結果パフォーマンスの向上につながる、という心理的行動を提唱したのが、アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールです。

1963年に行われたその実験方法は、小学校の教師に、「成績が伸びる生徒が判明する特別なテスト」であることを伝え、生徒たちにテストを受けさせます。そしてテスト結果とは関係なく無作為に生徒を選び、「成績が上がる生徒」として教師に伝えます。すると実際に、無作為に選ばれた生徒の成績が向上したという実験結果から誕生しました。教師が生徒の成績向上を信じ期待をかけたことにより、生徒が期待に応えようと無意識に心理効果につながったことを提唱したのです。そのためピグマリオン効果は、別名「教師期待効果」や「ローゼンタール効果」とも呼ばれます。

ピグマリオン効果とは反対にゴーレム効果があります。ゴーレム効果は、周囲から期待されないことにより、成績の低下など結果が悪いほうへ向かう心理的影響です。ピグマリオン効果と同様に、ローゼンタールによって提唱されました。

実際のところピグマリオン効果の実験結果に対しては、他の研究者が同じく実験をおこなっても効果がみられなかったなど賛否両論です。しかし期待をかけられれば前向きに取り組め、反対になにも期待されなければモチベーションにつながらず、どちらの場合にも結果が左右されるのはおかしくありません。

ビジネスのシーンでもピグマリオン効果を用いることで、パフォーマンスの向上が期待できます。例えば期待の言葉をかけることはもちろん、ハードルが高過ぎないノルマを課し成功体験をさせる、裁量権を与えるなどで、部下が自由に自身で考えて業務をしやすくなります。ピグマリオン効果は、部下のモチベーション維持や円滑なコミュニケーションにつながり、ビジネスシーンにおいて有効的といえるでしょう。

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