企業人事にテクノロジーをどのように活用していけばよいのだろうか。大手・中堅企業向け人材マネジメントシステムとして定評がある「Rosic(ロシック)」は、要員・人件費シミュレーション分析や、経営指標分析で人事のKPIマネジメントをサポートする機能を新たに開発し、経営により貢献する人事を実現するための支援を強化している。
最新の技術を導入すれば人材マネジメントが成功するわけではない
企業人事にテクノロジーを活用するHRテックのサービス開発に力を入れる人材サービス会社が増え、その導入を促進するイベントなども頻繁に開催されている。
大手・中堅企業向けに「Rosic」人材マネジメントシステムを提供しているインフォテクノスコンサルティングの大島由起子セールス・マーケティング事業部長は、HRテックに対する見方について、「最新の技術を導入すれば、夢のように人材マネジメントが成功するわけではありません。人事担当者の方は、そのテクノロジーが人事の仕事にどう役立つのかという視点で冷静に見ていく必要があると思います」と説明する。
HRテックの対象は、人材採用、能力開発、評価・配置、給与計算、労務管理など多岐にわたる。また企業の成長ステージや規模によって必要な支援も異なる。
「人事の仕事の中で、省力化や人為的ミスの防止、アルバイト採用の歩留まりのような確率で評価できる部分はAI(人工知能)などの活用が進んでいく可能性が高いと思います。一方、後継者育成、中堅社員以上の能力開発や配置といった個別対応が必要で失敗が許されない施策をシステムだけに任せきることは、当面できないのではないでしょうか」(大島氏)
人事担当者が考える時間を確保するために
今、経営により貢献する人事が求められている中で、多くの人事担当者を悩ませているのは、経営陣が適切で迅速な意思決定を行うための情報をスピーディーに提供できていないことだ。
必要なデータが揃っていなかったり、データを思うように取り出せないために、その都度データを集めたり、資料を作成する膨大な作業に追われている人事担当者は少なくない。 人材や組織のマネジメントはどこまでいっても正解がない世界で、仮説と結果を検証するプロセスを人事担当者が自らの頭でしっかり考えていかないと経営の根幹を揺るがしかねない。
テクノロジーを上手く活用して人事担当者一人一人が十分に考える時間を確保できれば、人事の仕事の質は大きく変わるだろう。
手作業の資料づくりを減らし、人事の仕事の質を高められるシステム
人材マネジメントのパッケージシステム「Rosic」は、2003年のサービス開始以来、業種を問わず大手中堅の優良企業に利用されている。人と組織の状況をデータとして「見える化」し、各社独自の人材マネジメントに対応できる柔軟性と充実したサポートが強みだ。
利用企業では手作業による資料づくりが格段に減った分、人事が具体的に何をすべきなのかを深く考えられる時間が増えて人事の仕事の質が大きく変化している。 さまざまな切り口でアウトプットが可能なデータを見ることで、以前は見えていなかった実態や課題が明らかになり、経営の意思決定や業務改善に向けた取り組みの質が高まっているという。
そして今年の夏からは「要員推移分析」「要員シミュレーション分析」「人件費シミュレーション分析」「経営指標分析」といった機能を備えた「Rosic Analytics」を新たに提供し、経営により貢献できる人事への支援を強化する。
「要員推移分析」では、過去から現在までの要員構成を時系列に可視化し、入社数・率、退職率、再雇用率などの実績値を得ることができる。その実績値と基準日時点の従業員属性データや昇格モデルを組み合わせることで根拠の明確な予測を実現するのが「要員シミュレーション分析」だ。
「要員推移分析」で過去から現在までの要員構成を時系列に可視化 得られた“人員構成に影響を与える指標の実績値”をパラメーター初期値に用いて「要員シミュレーション分析」で将来を予測
●「Rosic Analytics」要員推移分析
●「Rosic Analytics」要員シミュレーション分析
さらに、要員シミュレーション分析結果とモデル賃金テーブルによって「人件費シミュレーション分析」で将来の人件費を予測する。また、人件費や労働時間などのデータと会社の重要数値の関係を示すのが「経営指標分析」で、経営陣は過去から将来のデータに基づいて人事のKPIを定めて最新状況を共有することができる。
「Rosic Analytics」の特徴について大島氏は、「大手・中堅企業向けで必須の履歴管理が万全です。任意の基準日や分析対象が柔軟に設定できるなど、データテーブル構造に長年培ってきたノウハウを生かし、人事の仕事の質を高められる機能になっています」と話している。