人材採用

新卒採用 次の一手は?大卒予定者の7割が内定獲得

5月~6月にかけて続出する内定辞退は採用担当者のここ数年の悩みのタネになっている。また大手企業の大量採用によって、新卒採用枠を充足できない中堅企業も多い。また、中小企業に至っては、新規学卒者を採用できない企業も多く、あきらめムードも漂う。7月以後の新卒採用の方策を取材した。

新卒採用 次の一手は?大卒予定者の7割が内定獲得

GW明けから内定辞退者が続出

2009年3月大学卒業予定者の就活が終盤に差し掛かりつつある。

「毎年、ゴールデンウィーク明けのこの時期から、内定辞退が何人出るのか、胃の痛い日々が続きます」と頭を悩ますのは、中堅のIT企業の人事採用担当者だ。

業績は堅調で、業務内容も独自性が高く、会社の将来性も申し分ないが、大手企業ほど知名度がないために、ここ数年内定辞退が続出するようになった。

リクルートが5月22日に発表したレポートによれば、ゴールデンウィーク明けの5月7日~11日時点で、就活大学生の約7割(69.9%)が内定(内々定)を獲得、内定企業に入社する意思があると回答した学生は約6割(58.2%)に上っている。さらに、「就職活動を終了する」と回答した学生は約半数(48.6%)を占めた。

また、ディスコの調査では重複内定社数は前年に比べ、2.2社から2.1社とわずかに減少したものの、内定率・重複内定社数ともに高水準だ。

内定辞退が出たり新卒採用枠を充足できない企業は、引き続き、募集のための媒体広告を継続して掲載するか、合同説明会に参加することになるが、7月以後は当然、反応が悪くなる。

自信を失った学生をサポート、昨年は3000人が採用決定

この時期の学生について岡崎仁美リクナビ編集長は、「考えすぎて自分では整理がつかない状態に陥っている学生や何を直せばよいか分からず自信を失っている学生が増えてくる」と分析する。

新卒採用第2ラウンドでは、カウンセリング機能を重視した成果報酬型のサービスが注目されている。

リクナビでは、06年から本格スタートさせた「就活2ndステージ」を今年も7月から開設する予定だ。通常の媒体広告と大きく違う点は、ジョブチアリーダーと呼ばれるコーディネーターが、学生の就活の悩みにメールや電話で相談に応じるサポートだ。

登録後、電話でこれまでの就活の状況を確認し、同時に登録者専用のウェブページ(PC&モバイル)を開設する。その後は、ジョブチアリーダーと相談しながら、企業を紹介していくという流れだ。

企業側には匿名でプロフィルが紹介され、企業と学生双方の合意で面談が決まる。企業と会うときに気をつける点などをジョブチアリーダーがアドバイスするので、学生は自信をつけて面接に臨めるという。

昨年は、学生約3000人の採用が決定した。利用企業の1社当りの採用数は約2人だが、大量採用を行う企業もチャネルの一つとして利用するケースが増えているという。料金は成功報酬で、内定が確定した時点で1人につき45万円を支払う。

新卒紹介サービス、BtoB企業の利用拡がる

さらにカウンセリングの利点を生かし、適正なマッチングを目指した新卒紹介に注力しているのが、就職エージェントだ。

同社にもまた、「膨大な量の就職情報に踊らされ、進路が分からなくなってしまった学生」が相談に訪れる。

本登録後、カウンセラーが学生と個別に面談し、外部の大学キャリアセンター(就職部)のようなイメージで就職相談に乗り、企業情報を提供し、面談の仕方などを指導する。

適性・適職診断も実施するが、適性・適職診断だけでは本当に本人に合った職業は分からないことが多いため、カウンセリングで自分に合った仕事や企業を見出していく。適性を見極めた上で、求人企業を紹介する。

「新卒の場合、キャリアがなく、ポジションも確定していませんので、中途採用よりも難しい場合が多い。学生の価値観と企業の志向性のマッチングが非常に重要になってきます」と下薗博康社長は話す。

学生のカウンセリングと同時に、正確な企業情報を収集し、上手く言語化することが、企業の魅力を引き出す決め手になるという。同社に依頼するクライアントの多くがBtoB企業で、約半数が上場企業だ。

同社の昨年の紹介実績は約600人に上り、今期は2倍以上の目標を掲げる。

中小・ベンチャー企業がサービス利用、1人採用で60万円

新卒紹介分野の拡大にともない昨年6月、関連会社のネオキャリアから分社化したのが同様の新卒紹介サービスを展開する就活カレッジだ。

「採用活動では資金力のある会社、知名度の高い会社が有利になるが、資金力も知名度もなく、通常の採用活動では会社の良さを伝えきれなかった中小・ベンチャー企業の利用が増えています」と遠藤彰二社長は話す。

個別カウンセリングを1時間以上行い、学生のモチベーションを高めて、志向や適性にあった企業を紹介する。

「学生は情報があるようで、本当に必要な情報は持っていません。正しい情報を伝え、学生が本来持っている良いところを引き出していきます」と情報提供とコーチングの必要性を強調する。

同社のサービスも利用企業に好評で、昨年の実績は約120人。今年は400人近い目標を掲げる。

新卒紹介サービスの場合、通常は成果報酬のため内定受諾まで料金はかかることはく、確実に学生に会えるメリットがある。両社とも、料金は採用1人につき60万円だが、採用人数によっては合同説明会、媒体掲載よりも利用しやすい価格といえそうだ。

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