アジャイルHR
松丘 啓司 代表取締役社長
【PROFILE】東京大学法学部卒業。アクセンチュアの人材・組織コンサルティング部門責任者を経て、2005年にエム・アイ・アソシエイツを設立。2018年にアジャイルHRを設立。パフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョン、組織営業といった領域で、企業向けの人材開発・組織変革プログラムの開発と提供を続けている。著書に『人事評価はもういらない』『1on1マネジメント』などがある。
人的資本経営が重視され、そのキーファクターとして「エンゲージメント」が注目される中、以下2つの問題意識から本書を執筆しました。
1)エンゲージメントを高める組織・人事マネジメント
人的資本経営が重視されるようになっています。人的資本経営とは、人的資本の価値を高めることによって企業価値を向上する経営を意味します。
「人的資本の価値」というと、専門的な知識やスキルの価値が思い浮かぶかも知れません。しかし、技術が大きな成果を生み出すには、心理的・精神的なエネルギー、すなわち「エンゲージメント」の要素が重要です。
エンゲージメントは人的資本経営の中核的な要素ですが、「どうすれば個のエンゲージメントを高められるか」というテーマに関する、人事・組織マネジメントの観点からの体系的な解説はこれまで不足していました。本書の第1の目的は、その解説を行うことにあります。
2)MBOに代わる、新たな人事・組織マネジメント
一方で、人的資本経営が注目される以前から、ほとんどの日本企業で現在も行われているMBO(Management by Objectives)と呼ばれる目標管理制度が、従業員の動機付けや成長支援にあまり役立っていないとしばしば言われていました。問題が指摘されながらも抜本的な変革がなされずにここまで来た大きな理由として、MBOに代わるマネジメント手法の全体像がなかったことがあげられます。
本書の第2の目的は、従来のMBOを中心とした人事・組織マネジメントに代わる、新たなマネジメント方法の全体像を提示することです。OKR(Objectives and Key Results)、1on1、ノーレイティング、360度フィードバック、パーパス・ビジョン・バリュー、人材開発会議、ジョブポスティング、キャリア研修、エンゲージメントサーベイ等の、個別の手法について解説と、これらを有機的に連携させたマネジメントプロセスの全体像、その導入に向けて変革を推進する際の主要なポイントを、実際の企業での実践経験に基づいて解説します。
なお、本書に記述されている内容は、すべて実際の企業で実践されているものであり、机上の空論はいっさい含まれていません。
本書をお読みいただくと、パフォーマンスマネジメントの手法には、一貫した考え方が存在することに気づかれると思います。本書を通して、日本のパフォーマンスマネジメントに一石を投じたいと考えています。
松丘啓司 著
ファーストプレス
1,500円+税