2023年中に賃金を引上げた企業は9割に迫る、一人平均3.2%増

2023年中に賃金を引上げた(引き上げる)企業は89.1%となっており、1人平均賃金の改定率は3.2%に上ることが、厚生労働省の「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査」で明らかとなった。

日本人材ニュース

2023年中における賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む)をみると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業の割合は89.1%(前年85.7%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は0.2%(同0.9%)となった。

【2022年中における賃金の改定の実施状況】
1人平均賃金を引き上げた・引き上げる 89.1%(前年85.7%)
1人平均賃金を引き下げた・引き下げる 0.2%(同0.9%)
賃金の改定を実施しない 5.4%(同6.2%)
未定          5.3%(同7.3%)

産業別にみると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」では、「建設業」が99.7%(同95.4%)、次いで「製造業」が97.4%(同94.8%)と高くなっており、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」では、「宿泊業,飲食サービス業」が1.1%(同1.6%)と高くなっている。

2023年中に賃金の改定を実施した又は予定していて額も決定している企業及び賃金の改定を実施しない企業について、賃金の改定状況(9~12月予定を含む)をみると、「1人平均賃金の改定額」は9437円(前年5534円)、「1人平均賃金の改定率」は3.2%(同1.9%)となっている。

「1人平均賃金の改定額」を産業別にみると、「鉱業,採石業,砂利採取業」が1万8507円(同5959円)と最も高く、「医療,福祉」が3616円(同6403円)と最も低くなっている。

【産業別 1人平均賃金の改定額】
鉱業,採石業,砂利採取業 1万8507円(前年5959円)
建設業     1万2752円(同8101円)
製造業     9774円(同5747円)
電気・ガス・熱供給・水道業 1万131円(同3670円)
情報通信業   1万5402円(同7919円)
運輸業,郵便業 6616円(同4136円)
卸売業,小売業 8736円(同5148円)
金融業,保険業 1万637円(同5341円)
不動産業,物品賃貸業 1万1560円(同6380円)
学術研究,専門・技術サービス業 1万642円(同7588円)
宿泊業,飲食サービス業 8401円(同3865円)
生活関連サービス業,娯楽業 6832円(同4044円)
教育,学習支援業 7682円(同5543円)
医療,福祉   3616円(同6403円)
サービス業(他に分類されないもの) 6343円(同4286円)

2023年中に賃金の改定を実施した又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業における管理職の定期昇給(以下「定昇」)制度のある企業の定昇の実施状況をみると、「行った・行う」企業の割合は71.8%(前年64.5%)、「行わなかった・行わない」は5.0%(同5.8%)となっている。

また、一般職の定昇制度のある企業の定昇の実施状況をみると、「行った・行う」は79.5%(同74.1%)、「行わなかった・行わない」は3.7%(同3.3%)となっている。

2023年中に賃金の改定を実施した又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業のうち定昇制度がある企業について、管理職のベースアップ(以下「ベア」)等の実施状況をみると、「ベアを行った・行う」企業の割合は43.4%(同24.6%)、「ベアを行わなかった・行わない」は21.0%(同35.6%)となっている。

また、一般職のベア等の実施状況をみると、「ベアを行った・行う」は49.5%(同29.9%)、「ベアを行わなかった・行わない」は18.2%(同33.8%)となっている。

調査は、7月20日~8月10日、常用労働者100人以上を雇用する民営企業のうち、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業を対象に郵送とオンライン報告方式で実施し、1901社の有効回答を得た。

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