【著者が語る】まず、ちゃんと聴く。コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比

櫻井将 エール 代表取締役

櫻井 将
エール 代表取締役

【PROFILE】横浜国立大学経営システム科学科卒業後、新卒でワークスアプリケーションズに入社。新規営業にて社長賞を受賞後、人事総務部のマネージャーを経て、GCストーリーへ。営業・新規事業開発、健康経営を支援する子会社を担当する傍ら、幼児教育のNPOを立ち上げ、保育士資格を取得。ビジネス、幼児教育の現場にいる中で「聴くこと」の価値と可能性を強く感じ、2014年から心理学やコーチング、カウンセリングなどを本格的に学び始める。2017年2月よりエールに入社、同年10月、代表取締役に就任し、オンライン1on1サービスの開発・販売に携わる。2023年時点で、エール社が提供するオンラインセッションは年間30,000件以上。「聴く」にまつわる講演や研修は年間50回以上、自社メンバーとの1on1は年間300回ほど行うなど、自身も日々「聴く」に向き合い続けている。

いまビジネス現場では傾聴が重視されています。企業内での傾聴研修が増え、私自身も管理職の方を中心に傾聴研修を年間50回以上行っています。

現場の方と接していて強く感じる課題意識が2つあります。1つは、傾聴の定義がコーチングやカウンセリングが前提となっており、ビジネス現場には適用しづらいこと。2つ目は、管理職の方がよく言われる「聴くことが大事なのは分かるが、聴くと伝えるをどう両立すればいいのか」という嘆きに答える整理がされていないこと。

本書のポイントは、当社で行っている年間3万件以上の1on1から得た知見を元に、一見分かりづらい傾聴という行為を「まず」「ちゃんと」「聴く」の3つに分けて、説明している点です。

最初に「聴く」とは何かを実際のビジネス現場で使えるよう細かく要素分解して、説明しています。本書の定義する「聞く」と「聴く」の違いを理解するだけでコミュニケーションは大きく変わります。

次に「ちゃんと聴く」とはどのような状態を指すのか。相手の話にしっかりと耳を傾けているにも関わらず「私の話、ぜんぜん聴いてくれないですね」と言われないための「ちゃんと聴く」とはどういう状態かを示しました。

そして「まず」聴いた先にある、聴くと伝えるを両立するためのヒントを多数書きました。実際のビジネス現場では、聴くだけでは仕事がうまく進まないからです。

聴いた方がいいテーマと伝えた方がいいテーマの整理。なぜ昔は聴くことなしに厳しく伝えても大丈夫だったのか、厳しく伝えても信頼関係が崩れない上司は何をしているのか、などの疑問に対する見解をお伝えしています。最後には、理論だけでなく、スキルを身につけるための実践ステップも示しました。

多様な人が違いを活かし合いながら自律的に働く環境の実現に向けては、自己理解と他者理解の土台となる聴く技術が必須です。管理職研修の課題図書に選んでいただくことも多いですが、私としては、人事の方が今後の組織・人事戦略を考える上で参考になる内容を書いたつもりです。そのような観点で多くの方のお役に立てたら嬉しいです。

まず、ちゃんと聴く コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比 櫻井将 エール 代表取締役

櫻井将 著
日本能率協会マネジメントセンター
1,700円+税

その他の人材採用や人事関連の記事はこちら

▼人材育成・研修特集号はこちらでお読みいただけます

PAGE TOP