【2025年度施行 改正育児・介護休業法】就業規則の改正必須! 7つの改正ポイントを解説

人事労務担当者が実務上扱う法律の中でも、近年、特に注視すべきは「育児・介護休業法の改正」です。深刻化する少子高齢化は日本における重要課題となっており、2023年の初めに表明された異次元の少子化対策の元、政府主導で様々な施策が打ち出されています。少子化問題の関連法令である育児・介護休業法は、ここ数年、たびたび法改正が行われていますが、このたび2025年4月施行(一部を除く)の改正法が公布されました。企業実務に影響を与える分野ですので、施行に先立ち、改正点を正しく理解しておきましょう。(文:丸山博美社会保険労務士、編集:日本人材ニュース編集部

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2025年度施行 改正育児・介護休業法の目的

前述の通り、主に2025年4月1日以降施行となる改正育児・介護休業法が、2024年5月31日に公布されました。

今回の育児・介護休業法の改正の目的は、「男女ともに仕事と育児・介護の両立をしやすくすること」にあります。これを実現するために、以下の3つの観点から法律の見直しが行われました。

  • 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
  • 育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
  • 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化

改正育児・介護休業法 改正のポイント

改正育児・介護休業法の目的を理解したところで、改正点を一つひとつ確認しましょう。 新たに事業主の義務とされる項目に関しては、間違いなく対応できる様、内容を理解しておく必要があります。また、改正法の大部分は2025年4月1日施行となりますが、一部施行日が異なる項目もありますのでご注意ください。

柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化 (施行日:2025年11月30日までの政令で定める日)

①3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置

事業主は、以下より2以上の制度を選択し、柔軟な働き方を実現するための措置を講じなければなりません。

  • 始業時刻等の変更
  • テレワーク等(10日/月)
  • 保育施設の設置運営等
  • 新たな休暇の付与(10日/年)
  • 短時間勤務制度

制度設計時には職場のニーズを踏まえる必要があり、労働組合や従業員代表者から意見聴取の機会を設けることとされます。

②事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

事業主が選択した措置については、対象労働者への周知徹底、意向確認を行わなければなりません。個別周知、及び意向確認の方法は、面談や書面交付等とされる予定です。

残業免除の対象拡大(施行日:2025年4月1日)

所定外労働の制限(残業免除)を請求できるのは、現状、「3歳に満たない子を養育する労働者」に限られています。法改正により、2025年度以降、残業免除の対象が「小学校就学前の子を養育する労働者」まで拡大されます。

子の看護休暇の大幅改正(施行日:2025年4月1日)

「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に名称変更され、以下の通り制度内容が拡充されます。

  • 対象となる子の範囲が「小学校3年生修了」までに延長
    (現行法では「小学校就学の始期に達するまで」)
  • 取得事由に、「感染症に伴う学級閉鎖」「入園(入学)式」「卒園式」を追加
    (現行法では「病気やケガ」「予防接種」「健康診断」等、子の看護に関わる事由に限る)
  • 勤続6カ月未満の労働者を、労使協定に基づいて看護休暇の取得対象外とすることが不可に
    (現行法では「週所定労働日数が2日以下」「勤続6カ月未満」の労働者を労使協定で対象外にできる)

仕事と育児の両立に関する意向聴取・配慮義務化 (施行日:2025年11月30日までの政令で定める日)

妊娠・出産の申出時、及び子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向を聴取し、配慮を講じることが事業主の義務となります。

会社側が講ずべき配慮については、今後指針によって示される予定ですが、「勤務時間帯・勤務地にかかる配置」「業務量の調整」「両立支援制度の利用期間等の見直し」「労働条件の見直し」等が想定されます。労働者への意向聴取の方法は、面談や書面の交付によって行うこととされます。

育児休業取得状況の公表義務が300人超企業に拡大(施行日:2025年4月1日)

現行法上、従業員数1000人超企業に、毎年1回以上、育児休業の取得状況を公表する義務が課せられていますが、2025年度より対象企業が「従業員数300人超企業」まで拡大されます。

参考:厚生労働省「男性の育児休業取得率等の公表について」

育児のためのテレワーク導入が努力義務化(施行日:2025年4月1日)

3歳に満たない子を養育する労働者が育児休業を取得していない場合、テレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

併せて、3歳に満たない子を養育する労働者を対象に講じる短時間勤務について、労使協定により短時間勤務が困難な業務に従事する労働者を適用除外とする場合の代替措置に、「テレワーク」が追加されます。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」

介護離職防止のための個別周知・意向確認、雇用環境整備等の措置義務化(施行日:2025年4月1日)

改正法では、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化を目的に、介護休業の制度や仕事と介護の両立支援制度に関わる周知浸透や利用促進、雇用環境の整備を事業主に義務付けています。企業で講じるべき具体的な取り組みは、以下の通りです。

  • 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置(面談実施や書面交付による)
  • 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
  • 仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備(研修、相談窓口の設置等)
  • 要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務
  • 介護休暇について、引き続き雇用された期間が6カ月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止

次世代育成支援対策推進法の改正も理解しておきましょう

このたび、育児・介護休業法と併せて、次世代育成支援対策推進法も改正されました。

次世代育成支援対策推進法とは、次代を担う子どもが健やかに生まれ育成される環境を、社会全体で整備していくための取り組みを定めた法律です。「一般事業主行動計画」や「くるみん認定制度」等、企業実務に関連する取り組みが盛り込まれています。

次世代育成支援対策推進法の有効期限が延長(施行日:2024年5月31日)

次世代育成支援対策推進法は、集中的かつ計画的な取り組みを目的に、2005年4月に時限立法として施行されました。現行法の有効期限は2025年3月31日まででしたが、このたびの法改正でさらに10年延長され、2035年3月31日までとなりました。

100人超企業に、育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定を義務化(施行日:2025年4月1日)

現在、従業員数100人超の企業が策定する一般事業主行動計画について、以下の2点が義務付けられます。実務上、施行日以降に開始、又は内容変更する行動計画から、対応することになります。

  • 計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況把握、改善すべき事情を分析した上で、分析結果を勘案して新たな行動計画を策定又は変更(PDCAサイクルの実施)
  • 育児休業取得状況や労働時間の状況に関する数値目標の設定

育児休業の取得状況の公表義務対象を拡大(施行日:2025年4月1日)

育児休業の取得状況の公表義務の対象が、従業員数1000超の企業から、300人超の企業に拡大されます。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法が改正されました ~令和7年4月1日から段階的に施行~」

法改正対応への取り組みは前向きに

改正育児・介護休業法の施行に伴い、企業においては改正に則した制度の整備、就業規則等の見直し等への対応が求められます。

法改正対応というと、どうしても「煩わしいもの」「義務的に行うもの」といったマイナスの印象が抱かれがちです。しかしながら、せっかく取り組むのであれば、その目的や必要性を十分に理解し、企業の社会的責任としてはもちろん、人手不足時代における人材確保・定着、従業員エンゲージメント向上の観点から、前向きに対応していけるのが理想です。


丸山博美(社会保険労務士)

社会保険労務士、東京新宿の社労士事務所 HM人事労務コンサルティング代表/小さな会社のパートナーとして、労働・社会保険関係手続きや就業規則作成、労務相談、トラブル対応等に日々尽力。女性社労士ならではのきめ細やかかつ丁寧な対応で、現場の「困った!」へのスムーズな解決を実現する。
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社会保険労務士、東京新宿の社労士事務所 HM人事労務コンサルティング代表/小さな会社のパートナーとして、労働・社会保険関係手続きや就業規則作成、労務相談、トラブル対応等に日々尽力。女性社労士ならではのきめ細やかかつ丁寧な対応で、現場の「困った!」へのスムーズな解決を実現する。

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