
グローアップ
加藤 佑基 代表取締役社長
【PROFILE】大学にてニューラルネットワーク、機械学習等統計解析を使った離職構造の研究に従事し、株式会社グローアップに入社。中途人材領域を経験後、経営企画室やマーケティング、開発等の部署立ち上げ。特にキミスカのマーケティング領域ではコンテンツマーケティングや広告領域、CRMの開発等幅広い領域を0から構築し、マーケティング責任者として累計学生登録100万人・導入社数5000社以上を達成。人材領域以外でも不動産領域やM&A領域のサービス管理等多数経験を経てキミスカの事業部長へ就任。その後、事業全体や新サービス等様々なプロジェクト、バックオフィス部門等も牽引し、代表取締役社長に就任。現在は、データとテクノロジー、そして人への深い理解を武器に「求職者と企業の双方にとって本質的な出会いを創出する」という信念のもと活動中。
新卒採用市場は依然として売り手市場が続いています。最新の求人倍率はコロナ禍以降で最も高い水準にあり、企業の採用意欲は引き続き旺盛ですが、学生数に大きな変化はないため、需要過多による高倍率は当面続くと見込まれます。
中小企業の採用難が一段と深刻化している一方、大手企業の求人倍率は低下傾向にあります。背景には、生活や将来への不安を踏まえて「安定した企業で確実なキャリアを築きたい」という学生の志向が強まっていることがあります。
その結果、応募が大手企業に集中し、中小・ベンチャー企業には学生が集まりにくいという二極化が鮮明になっています。中小企業にとっては、求人を出しても十分な応募が集まらず、採用計画の見直しやコスト増につながるリスクが高まっています。
学生の行動にも特徴が見られ、インターンシップを軸に早期から活動を始め、志望業界や職種を早めに絞り込む傾向が強まっています。ただし、最終的な内定承諾の時期は従来と大きく変わらず、「早く動いて、遅く決める」流れは続いています。
売り手市場による内定取得の容易さからエントリー数は減少し、大手企業への応募が増えることで、中小企業では母集団の確保自体が難しい状況です。学生は「数多く応募する必要がない」ため、少数精鋭で自分に合う企業を見極める姿勢が強まっています。
こうした環境下で従来通りの採用成果を維持・向上させるためには、学生との接点を増やし、長期的に関係を築く姿勢が求められるため、単に選考の場を提供するだけでなく、インターンや説明会を通じて継続的に関与し、学生の不安を解消する取り組みが欠かせません。
さらに、情報発信やフィードバックの迅速化、柔軟な選考スケジュールの設計など、きめ細かな対応を強化することが重要です。採用の成果は偶然ではなく、戦略的に積み重ねた接点から生まれます。
採用活動の難易度は高まっていますが、工夫と投資次第で中小企業にも勝ち筋は残されているといえるでしょう。