【セントメディア】現場運営を受託し、売り上げにコミットするチーム型派遣で成長

派遣スタッフとともに自社の社員を販売店舗やコールセンターに送り込み、現場の運営を丸ごと受託するビジネスモデルで成長中のセントメディア。同社を事業子会社に持つウィルホールディングスは昨年12月、東証第2部に上場を果たした。同社の大原茂社長にビジネスモデルの特徴や事業戦略などを聞いた。

セントメディア

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大原 茂 代表取締役社長

1968年生まれ、奈良県出身。京都産業大学法学部卒業後、長谷工コーポレーションに入社。その後、2000年セントメディア取締役を経て、2006年同社代表取締役社長に就任。

現在、中心となっている事業の内容について教えてください。

販売、コールセンター、一般事務という三つの領域における人材派遣・請負が主力事業です。他にもネットワーク系技術者の特定派遣などを手がけていたり、新たに介護領域での派遣も始めました。そして人材紹介にも力を入れています。

人材紹介としては、以前から行っていた若手営業職の紹介に加え、看護師や障がい者の紹介も行っています。特に障がい者の紹介においては企業からの問い合わせが急増しており、社会性の高さを感じています。さらに、今年2月には全国でスマートフォンアプリ開発のプログラミングスクールを運営している企業と提携して、即戦力として期待ができる修了者を紹介したり、ベンチャーキャピタルとの提携を拡げることで、IT業界に人材を多く紹介することができています。

毎年新たな領域へ進出していますので、主軸3事業を超えるような領域を早く築いて、その新しい事業がセントメディアの枠には収まらずに、分社化させるくらいエッジを立て成長させたいと考えています。グループとしては、昨年末に東証二部に上場することができましたが、これからが本当のスタートだと考えています。

どのような顧客が売り上げの中心になっていますか。

販売の分野においては、携帯電話や通信などのキャリアや端末メーカー、一次代理店のショップが主なお客様です。特にスマートフォンの販売においては高い評価を頂いており、家電量販店チェーンの売り場の運営をすべて受託するケースもあります。

販売における派遣・請負としては、他にはアパレル分野においてファストファッションのチェーン店や百貨店などの有名ブランドショップとの取り引きが大きく伸びています。

コールセンターの分野は、携帯電話や通信などのキャリア、そして金融機関や家電メーカーなどの大手企業がほとんどです。一般事務もそのようなお客様がほとんどです。これは当社がある程度まとまった人数を派遣するチーム型派遣を強みとしていることから、取引先には多くの人員を必要とする大手企業が多くなっています。

一般的な派遣事業とは異なるビジネスモデルの特徴は?

最大の強みは「ハイブリッド派遣」にあると自負しています。ハイブリッド派遣とは、フィールドサポーターと呼ばれる社員が、派遣スタッフと一緒に就業するチーム型派遣です。通常の派遣では常駐型の社員が現場に入ることはありません。

ハイブリッド派遣においては、フィールドサポーターが現場に入り、お客様のマネジメントの手伝いや派遣スタッフのモチベーション管理などを行うことで、業務効率の改善や販売実績の伸長が見込めることからお客様から高い評価を頂いています。

このシステムは派遣スタッフからも「わからないことが聞きやすい」「困った時にすぐ相談に乗ってもらえる」と大変好評で、派遣スタッフの働きやすさや定着率の向上にもつながっています。人材ビジネスでお客様に喜ばれる最大の価値は、まさに定着率の高さだと考えています。こうした取り組みの結果、新たに派遣スタッフを募集する際には他社に先駆け当社だけにまず発注いただく「独占オーダー」が増えており、社内ではこれをお客様との緊密性を示す重要な業績指標としています。

ハイブリッド派遣では単に労働力を提供するだけではなくお客様の売り上げにコミットしています。例えば携帯電話であれば月間何台販売といった販売件数や売り上げをコミットします。 大きな責任を負うことになり大変ですが、お客様の一定の売り上げを担っていることは社員や派遣スタッフにとっても大きな誇りであり、高いモチベーションにもつながっています。

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売り上げにコミットするということは、社員や派遣スタッフの能力が高くなければ実現できません。

スタッフの能力の高さが売り上げに直結するため、教育・研修を充実させており当社の強みにもなっています。就業前の研修はもちろん、恒常的に教育する機会を設けています。指導員が定期的に販売現場を巡ってOJTを行ったり、それでも生産性が上がらないスタッフは一旦現場を外れて本社での研修やeラーニングを活用した研修を受講してもらうなど、様々な研修を行います。

他にも新製品が出た時などはメーカーの担当者を講師として招いた研修を行います。これらの研修では、スタッフごとに課題が明確になることから、それぞれの強みや弱みを理解して指導するようにしています。

コールセンターは、ネット販売の利用者の増加などで成長性が高い分野です。

ネット販売の増加に連動してエンドユーザーからの問い合わせが増えています。通信キャリアの分野でもスマートフォンの急速な普及などで「使い方がわからない」といった問い合わせが爆発的に増え、コールセンターのニーズは日増しに高まっている状況ですね。

コールセンターの運営は、お客様のコールセンターにスタッフを派遣するものと、当社が高知県に設けているコールセンターで、お客様のコールセンターの運営そのものを受託する場合があります。ここでも、当社のフィールドサポーターが大変高い評価を得ています。コールセンターは、スタッフの入社日が固定されていることから、全員で研修を行います。研修期間は通常半年ほど続きますが、その間に一日でも欠勤してしまうと研修内容について行けなくなって離職してしまいます。

そのため、いかに休むことなく充実した研修期間を過ごすかが重要なポイントとなります。研修期間後もフィールドサポーターが常駐し、常にフォローしていることから定着率が高く、安定したサービス品質を提供できることが強みです。

リーマン・ショックでは人材業界は大打撃を被りました。

製造現場への派遣事業を行っているグループ会社エフエージェイは若干影響を受けましたが、当社が手がけている領域においては、世間で騒がれていたほど影響はありませんでしたし、結果として増収でした。これは主にお客様を業績好調な通信キャリアに即座にシフトした戦略が奏功したと思っています。手前味噌な話ですが、当時は人材業界としては逆風な中で着実に成果を残せてきたのも、当社の従業員一人一人がお客様や派遣スタッフのみなさんに選ばれていたからだと思っています。

あらゆる策を講じましたが一番の成功要因は、みんなが真っ直ぐに諦めず、取り組み続けてくれていたことだと思いますし、それが当社の強みの一つです。リーマン・ショックで企業の人材ニーズにおいては、派遣スタッフが減少した替わりにアルバイトや契約社員が増えました。当社のお客様においては、安定した人材の確保という観点から直接雇用を模索している企業も増えています。こうしたトレンドを把握し、お客様の要望にいかに応えるかといった対応が必要だと考えています。

今後、労働者派遣法改正の影響はでてきますか。

まず3年目を超えた日が抵触日に該当するため、改正後はその瞬間に毎月あった売り上げがゼロになります。しかし、そのようなことよりも、働くスタッフの価値観や状況が多様化していることのほうが重要な課題だと考えています。ずっと派遣で働きたい人もいれば、正社員になりたいという人もいます。

こうした多様なニーズに対応すべく、当社では派遣で2年以上勤め、正社員を希望するスタッフを対象に「キャリアパス紹介」という制度を4月からスタートします。正社員希望者にはその希望に応えていくということです。まずは、関東、関西エリアからのスタートですが、そのスタッフの働きぶりを2年間も見ていますから派遣先企業や正社員を採用している企業に私たちが紹介状を書いて、自信を持って紹介できると考えています。

人材市場をどのように見ていますか。また、今後の目標を教えてください。

人材の流動化が進むことは間違いないでしょう。今後10年を考えると、情報通信やサービス業での人材ニーズはさらに増えてくると見ていますので、他業界から人材をシフトさせる動きが必要です。一方、労働力人口は減っていくので、シニアや女性が活躍できる環境づくりも人材会社の役割になるのではないかと思っています。まず当社は、今年度は正社員の人材紹介にも注力していく予定です。

また、販売・コールセンターの分野で早期にナンバーワンを達成したいと考えています。そのためにもスタッフを紹介するだけの供給価値ではなく、フィールドサポーターを活かしたマネジメント価値でお客様に選ばれつづけたいと思っています。販売、コールセンターにかかわる人材不足は顕著で、採用と同様にスタッフの定着が重要になっています。お客様の人材ニーズの充足とスタッフの定着によって目標を達成したいと考えています。

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