テスコ・プレミアムサーチ
石井 京子 代表取締役
障害者雇用は企業にとって大きな課題である。長年障害者雇用に取組み、法定雇用率をなんなくクリアーする企業がある一方で、初めて障害者雇用を経験する企業にとっては何をどうしてよいのか分からず、極めて高いハードルになる。
2013年4月の障害者雇用率引き上げにより民間企業の障害者雇用率2%時代が到来した。各企業の取り組みにより、13年度の実雇用率は1.76%と過去最高となった。15年4月には障害者雇用納付金対象が従業員数100人を超える企業に拡大され、18年には法定雇用率の算定基礎の見直しにより、算定基礎に精神障害者が加えられる。企業はさらに障害者雇用を進めていくことを期待されている。
障害者雇用は経験とノウハウが必要で、経験がない人事担当者にとっては悩ましい問題である。初めての面接では障害について質問をしてもよいものかどうかと迷うに違いない。最新のデータでは障害者の総数は788万人であるが、18 ~ 65歳の労働人口324万人中、身体障害者111万人に対し、精神障害者が172万人と多くなっている。近年身体障害者の雇用は横ばいだが、精神障害者や発達障害者の雇用が進んできたのもうなづける。
マスコミ等でも取り上げられることにより際立った能力が知られてきた発達障害であるが、高い成果を期待しつつも、個々で異なる特性の把握と、特性に応じた雇用管理のノウハウの蓄積が必要なため、実際の職場でどんな配慮が必要かを知る人事担当者は多くはない。
過去十数年、障害者雇用コンサルティングと求職者のキャリアカウンセリングを行ってきた経験から、発達障害の特性が具体的にイメージできるような人事担当者向け面接・採用マニュアルが必要と確信した。
そこで実際の面接問答例を通して、発達障害の特性の多様性を知り、どんな配慮が必要かを実践さながらに学べる構成とした。
雇用管理から企業が受けられる支援まで、人事担当者に役立つ内容をまとめた一冊である。本書が発達障害についての理解を深め、障害者雇用を促進することにつながることを願う。
石井京子 著
弘文堂、1800円+税