【著者が語る】その聴き方では、部下は動きません。

日本傾聴能力開発協会

日本傾聴能力開発協会
岩松 正史 代表理事

傾聴力が低いとビジネスはうまくいきません。右肩上がりの成長が期待できた昔は一つの目標を定めそこに皆で向かうため、引っ張っていくコミュニケーションが効果的でした。今は違います。人口減、少子高齢化による昨年比の売上を追いかけるビジネスモデルの限界と人手不足。若者との価値観のギャップへの対応。雇用の多様化による人間関係の複雑化。メンタルヘルスケアの義務化など企業を取り巻く環境は大きく変化し多様性に対応できるコミュニケーションが求められているのです。

そのためには自分の意見をどう伝えるかより、まず相手の独自性、感覚、意味づけ、価値観の違いなど、いわゆる「気持ち」の理解からはじめなければなりません。傾聴をお伝えしはじめた15年前は気持ちが大事などというと、よく「ビジネスに気持ちなんて使えない。必要なのは気持ちよりも具体性だ!」と反論されたものです。

しかしビジネスにこそ気持ちの理解は不可欠なのです。例えば、顧客満足は顧客の「気持ち」を満たすことです。クレーム対応は相手の「気持ち」が収まった時に収束します。そもそもビジネスとは相手の気持ちを解決できればうまくいき、気持ちが解決できなければうまくいかないものなのです。

ビジネスマンが仕事だと思っている物やサービスの提供は、実はそれ自体が目的ではなく、ビジネスの本質である気持ちの解決のための手段なのです。そのことに気づけば、気持ちを聴くことがいかにビジネスに大切かが分かります。そして気持ちを理解するための聴き方のことを傾聴といいます。

本書では15年間傾聴専門にお伝えしている心理カウンセラーであり、また傾聴を使いながら自身の事業を15年で625倍、直近10年で32倍に拡大させてきたビジネスマンでもある筆者が、ビジネスの問題解決に必要不可欠な傾聴とは何かを明らかにし、何をどの順番で聴いていくと問題解決につなげられるのか具体的な聴き方のステップをまとめました。

部下や顧客の声をちゃんと聴きたいと願いながら日々人間関係の悩みがつきない、そんな誠実なビジネスマンのあなたにお勧めしたい一冊です。

日本傾聴能力開発協会

岩松 正史 著
朝日新聞出版、1,500円+税

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