富士通ラーニングメディア
青山 昌裕 代表取締役社長
デジタル社会と言われる今の時代は、ビジネス環境が凄まじいスピードで変化しています。だからこそ今、多くの企業や組織が人材をどう育成すればいいか悩んでいます。
これまでの人材育成は、目標とする「理想の人物像」を定めて、その人が備えているスキルを可視化し、育成対象とする人材に対してそれを習得してもらうというやり方が一般的でした。高度成長期のように事業環境に大きな変化が少ない時代は、これでよかったかもしれません。
しかし、現代はそういう事業環境ではありません。社内の先人たちの経験やノウハウがあっという間に陳腐化し、通用しなくなってしまうため、昔ながらの「先輩の背中を見て学ぶ」という方法がとりにくくなってきており、これが人材育成を難しくさせている原因ではないかと私たちは考えています。
これまで「既存業務をうまく回す力」や「組織を引っ張る力」を持つ人材が優秀とされてきていましたが、今はそれよりも「新しいビジネスを生み出す力」や「既存の枠組みを壊し創生する力」など、いわゆる「イノベーションを起こす力」がより強く求められています。
まだ顕在化していないビジョンを描き、リーダーシップを発揮して力強くビジネスをリードする人材。目的を達成するために、既存の枠組みにとらわれることなく自ら考え、積極的に動いていくことができる人材。こういった「自律型の人材」が求められているのです。
これまで40年以上、富士通グループ内外の多くの企業から人材育成を支援してきた当社もこの「変化の激しい時代に必要な人材育成とは」ということについて、悩みながら試行錯誤を繰り返してきました。こうした経験から得てきたことをこの本にまとめました。
必ずしもすべてが成功体験ではなく、現在進行中のもの、変化している最中の内容も含まれています。そこにはきっと読者の皆様のヒントになることがあると考え、あえて「今のありのまま」の内容も含めました。企業の経営層はもちろん、今まさに人材育成や人材配置、現場のチーム作りに携わる方の一助になればうれしい限りです。
富士通ラーニングメディア 著
ダイヤモンド社、1,500円+税
【関連記事】
- 変革人材の争奪戦が過熱 失敗しない採用戦略とは【人材獲得策の最新事情】
- 企業価値を高める独自の人材投資が本格化【人的資本経営の実践と課題】
- DXと管理職の意識改革でエンゲージメントを高める【人的資本経営とウェルビーイング】