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中曽 久美子 人材紹介事業部門 ゼネラルカウンセリング統括部 部長
人事職の転職市場は活況な状態が続いており、企業は特に、採用職の人員強化に積極的です。少子高齢化と労働力人口減少により、新卒も中途も人材確保が困難になっています。媒体、イベント、紹介会社からの採用だけではなく、ダイレクト・リクルーティング、リファラル採用など採用手法が多様化し、企業自らが発信をしていく必要性も高まっています。
需要増に伴い、若手であれば、人材業界出身者、営業経験者など採用未経験者にも門戸を広げており、コミュニケーション力と人柄を重視した採用を行っています。ただし、ターゲットを広げていることにより、仕事内容や業界体質を十分理解しないまま入社してしまう恐れがあるため、選考中にしっかりと伝えることに注意が必要です。
その他、「働き方改革」「メンタルヘルス」「ダイバーシティ」をキーワードとした求人も、社会の動きに連動し着実に増加傾向にあります。
人事経験者の転職理由は、「職務が細分化されていて他の業務に携わるチャンスがない」といった閉塞感に起因することが少なくありません。採用など特定の領域担当として入社したとしても、将来的には労務や制度構築などにも携わるキャリアパスを明示できると、求職者には魅力的に映るでしょう。実際に40代以降の転職は制度構築の経験を求める傾向にあります。
中高年層では、経営に近いところで会社作りに参画できるかが転職動機となるようです。若年層にはネームバリューのある大手企業が人気ですが、中高年層には任せたい職務が持つ影響力、どれだけ裁量権があるかといった具体的なメッセージを打ち出せるかが規模問わず採用成功の鍵となります。
また人事職の倍率が高まる中、退職交渉が難航する事例も増えてきました。紹介会社としては、いつ誰にどのように退職交渉を進めるのかフォローを丁寧に行うこと、採用した企業は本人のモチベーションを維持するためにも、評価している点や期待を内定受諾後に改めて伝えるなど、意識的な工夫が必要だと感じています。