アクシアム
渡邊 光章 代表取締役・キャリアコンサルタント
【PROFILE】大阪府立大学農学部生物コース卒業。 コーネル大学 Human Resource Executive Development Program修了。 留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。 1993年にアクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事、1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
企業がMBA人材を求める背景には三つの大きな産業変化があります。一つ目はグローバル化。大手製造、金融、商社のほか中堅企業やベンチャーも積極的に海外へ展開。
さらにクールジャパンをキーワードに食品、アパレル、コンテンツ事業までもが世界展開を狙い、それらを推進するグローバル人材としてのMBA需要は高まりをみせています。
二つ目は、企業経営のさらなる合理化。地方創成や企業再生、上場準備ベンチャーなど、経営の合理化を図るにあたり社内人材では対応できない幅広い企業で、MBAへのニーズが出てきています。
三つ目は、資本流動に対応できる経営人材の圧倒的不足。企業カバナンスが変化する中、ビジネスリーダーに求められる知識・スキルも大きく変化しています。しかし日本の社会全体でその育成は追いついておらず、MBAがその課題解決策として求められているのです。
業界別では、コンサルティング業で求人量が爆発的に増加。前述のように、経営人材の不在を補うため、多数の企業が外部コンサルタントを求めているからでしょう。ヘルスケアやITなど資本投下が積極的な領域での求人も活発です。
また、グローバルな経営課題を解決できるスキル・実績を持つMBAの年収が高騰。採用では日本国内市場の賃金平均値など全く通じません。30代前半の海外MBAの場合、1800万円のオファーまで見受けられます。
さらにベンチャーや外資系ではオプションを提示する例も多く、ここまでの賃金提示ができない日本の製造業は、大手でも採用に苦戦し、社内のMBAの流出が止まらない懸念が出ています。
ただ、報酬以上に重要な課題は、将来を見通せるキャリアデザインを企業が示せなくなっていること。MBAをどのように理解し活用するかは企業側の問題です。彼らが活躍し結果を出している企業は、採用時からキャリアの可能性の提示が極めて明確。特に日系大手を中心に、この課題解決がMBA採用の成否を分けると考えています。