バンテージポイント
南 健司 日本代表パートナー
大手企業同士の連携強化を図る大型合併による国内再編、アジアを中心とした海外市場獲得の活発に伴うクロスボーダーM&A案件の増加を背景に、大手外資系財務アドバイザリーファームを中心に引き続き積極的な採用が予想されるのがM&A人材市場です。
M&Aが経営手法として定着して久しいですが、一口にM&Aといっても合併検討から買収実行、統合支援まで様々なフェーズがあり、中でも買収した会社をいかにバリューアップしていくかという観点からPMI(経営統合支援)が近年注目を集めています。
特に昨年の総規模が10兆円超えとなり活況を呈しているクロスボーダーM&Aにおいては、その裏で統合後に法制度や商習慣の違いに苦戦するケースが少なくないことや、本社の経営体制やガバナンスの見直しといった更に踏み込んだ支援が必要となります。
そのため、被買収企業の経営資源や風土を活かし「賢く」統合効果を実現できるプロジェクトマネジメント力や、海外のステークホルダーと対等に渡り合えるコミュニケーション力を有した中堅グローバル人材の需要が急速に高まっています。
また同様に、高い語学力と金融・コンサル等の専門性を有した若手即戦力人材の獲得も激化しており、転職市場において複数の内定を獲得する人材も多く見られるなど売り手市場が続いています。
そのような優秀な人材は報酬や肩書きはもちろんのこと、組織の文化やブランド力、そしてどんな「人」と働けるのか、どのような長期的キャリアが構築できるかをより重要視する傾向があります。
このため、採用成功の鍵として、
①社内で然るべきポジションにある業界リーダーが積極的に採用に関わり、優秀人材を引き付ける力をつける
②採用力やチームビルディングに対する貢献を人事評価に加え、現場採用担当者がより主体的に採用に関わる体制を整える
③人材市場の相場観を採用決定者が理解し、優先度に応じた柔軟な面接対応を取る(決定スピード、待遇の見直し等)
の3点が特に重要であると考えます。