自ら考え戦略的に動く営業集団をつくる 3つのフレームワーク

富士ゼロックス総合教育研究所

富士ゼロックス総合教育研究所
河村 亨
シニアコンサルタント

 本書は、私の10年に及ぶ「戦略実行」に向けたコンサルティングサービスのポイントをまとめ、主に「営業マネジャー」に向けて書いたものです。

 にもかかわらず出版後、様々な「人事・人材」系専門誌や団体の方々から多くの反響があります。これは、現場や部下が何らかの戦略的指示に対して「言ったことをやらない」「言われた通りにしかやらない」といった組織の普遍的な悩みや、「結果を出すマネジメント」などのより強化されたテーマに対して、一般的なマネジメントの「常識」や「セオリー」だけでは、ある種の“限界”を感じている方が多くいるからではないでしょうか。

 現場では、(ルーチンの活動とは別の)戦略的指示に対して、「理解」「納得」「実行」「定着」という段階を経てその実行度を高めていきます。従って「実行」に移るためには「納得」が特に重要となりますが、実際には“正しい理解”をせずに「納得」の是非を決めてしまっている場合が非常に多くあります。

 つまり内容をよく理解せずに「前にもやった」とか「現場は違うんだ」などと勝手に完結してしまうのです。そこで重要になるのが「思考させるコミュニケーション」によって正しい理解を引き出すことです。

 一見「コーチング」と似ていますが、よくコーチングのスキルを使っている人に見られるのが“型通りの問いかけ”により“誘導したい感”が見え見えで、かえって反感を買ってしまったり、問いかけたものの、ポイントを押さえられず収集が付かなくなってしまっている光景です。

 こうならないためには「自己決定」と「フレームワーク」を活用します。“単に問いかける”だけでなく、あくまで“自分で決定した”と思えるくらいまで考えさせ、誘導的な質問ではなく“思考の枠組みや手順”であるフレームワークに沿って考えることによってあるべき結論に導くのです。

 本書ではこのフレームワークを目的別に、「市場の可視化」「戦略遂行の可視化」「活動プロセスの可視化」の3つで構成して紹介しています。これらは営業戦略に関するものですが、その考え方は一般的なタスクのマネジメントにも応用できます。

 中でも「戦略遂行の可視化」(第3章)はBSC(バランスド・スコア・カード)の考え方を活用していますので、MBO(目標管理)の効果的な運用に悩む人事スタッフや現場マネジャーにも多くの点で参考にしていただけると思います。

 このような考えに至った背景には「戦略実行」を志向する以前、「事業力強化」を掲げ、集合研修後のフォローをお客様の現場に出て行って支援してきた経験があります。

 研修後、あれほど「感動した」「明日から思いっきり活用します」と言っていた人たちが、1カ月もたたないうちに教えたことをきれいさっぱり忘れてしまっていたり“明日から活用”のはずが、翌日からただのルーチン作業に戻っていたことでした。

 冒頭の「言ったこと」の着実な実行を望むのであれば、「ルーチン」に埋没しないよう、日々のマネジメントと連動させること、そして何よりそこに意味を与え、結果を出すためには、戦略と連動させなければならないのです。

 「組織は戦略に従う」(A.D.Chandler“Strategy and Structure” 1962)の有名な言葉から連想されるように、私は人事部門は、会社の中で最も戦略的な部門であるべきと考えています。営業部門だけでなく、より多くの皆様が本書によって「人材」と「戦略実行」について考るきっかけとしていただけたら幸いです。

富士ゼロックス総合教育研究所

河村亨 著
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