リクルートキャリア(現リクルート)
藤井 薫 リクナビNEXT編集長
デジタル・トランスフォーメーションの加速を背景に、全業界でタレント人材の獲得競争が過熱しています。当社の転職支援サービス「リクルートエージェント」の2018年4月末時点の転職求人倍率は1.78倍。
中でも、AI、IoT、半導体、自動運転など、デジタル時代のビジネス変革を推進する“超製造業”でのITエンジニアやEMC(電気・機械・化学)エンジニアの転職市場では、業界をまたぐ「異業種採用」や年齢の壁を超える「Over40’s採用」も常態化しつつあります。
例えば、電機メーカーのAI研究者が、自動運転技術の開発を加速させる自動車業界に転じるなど「異業種採用」が増加。実際、「リクルートエージェント」におけるITエンジニアの異業種転職の推移は、2009年-2017年比較で2.68倍になっています。
さらに、40代以上のタレント人材を採用する「Over40’s採用」の増加も顕著です。実際、「リクルートエージェント」におけるEMCエンジニアの40歳以上の転職決定者は、2009年-2017年比較で4.33倍。今や「35歳の壁」は消えつつあります。
採用成功を実現する企業には一つの共通項があります。それは現場リーダーの採用参加です。人材確保は企業の競争力の源泉であるにもかかわらず、これまでの多くの企業では採用は現場から切り離され、人事の実務担当者だけに委ねられてきました。しかし、採用成功を実現する企業では、例えば、転職潜在層を集めた業界イベントにも現場リーダーが参加し、開発の醍醐味や仕事の進め方などを語っています。
当社が実施した「転職活動者に聞く転職中に企業に求めること」のアンケートでも、「配属される職場の情報~職場長との会話の場・具体的な仕事内容の開示」がトップに踊り出ます。
業務の細分化、高度化により、同じ業種や職種でも求められる成果や仕事の進め方が異なる昨今。職場長との具体的なミッションの摺り合わせを求める“就職場”フィッティングの傾向が、今後ますます重要になってくると思われます。