パーソルキャリア エグゼクティブ エージェント
上原 真一 グループリーダー兼シニアコンサルタント
消費財業界に関して、従前から国内市場が飽和しており、国内におけるコスト改善・マーケティング戦略変革および海外需要の拡大がキーワードといえます。また、事業フェーズを「創業期」「成長期」「多角・成熟期」「再生期」に分けた場合、同業界は「多角・成熟期」「再生期」が圧倒的に多いです。
「多角・成熟期」の企業では、国内においてはコスト改善を実施するためのSCM全体の変革を通じた原価低減や生産ラインの見直し、製造の効率化などを実施するケースが多いです。また、商品ポートフォリオの改善やオンラインを含めた販路の拡充、消費者の嗜好性の多様化に伴う健康・機能性・デザインなど付加価値を付けるマーケティング戦略をとる企業も増加の一途です。
海外展開に関しては、M&Aを実施するケースと海外生産拠点を構築し展開するケースなど、企業ごとに考え方が異なっています。
これらの戦略実施のためのエグゼクティブ人材を採用する消費財メーカーが増加しています。原価低減や製造の生産性向上のための生産管理人材、マーケティング戦略を構築できる人材、海外進出のためのM&Aあるいは工場建設・運営人材を求める傾向です。
一方で「再生期」の企業は、オーナー企業の事業承継による次期ボードメンバーの採用や、中堅・中小企業が経営課題に応じて大手企業を役職定年した方を招聘し課題解決を目指すなど、再成長に向けて経営のかじを切るケースが多く見受けられます。
これらの人材が中長期にわたって活躍するためには、経営課題・事業課題の整理と優先順位づけ、また経営・事業課題から求める人材要件の定義・ミッションの明確化が重要です。特に重要なことは、知見・経験やコンピテンシーを満たすだけでなく、会社・経営者の考えや社風と候補者側の指向性ができる限り一致することです。
単純に採用することが経営課題の解決策ではなく、入社者が最大限のパフォーマンスを発揮するための環境を整備することも重要な要素の一つといえます。