【著者が語る】「グチ活」会議 社員のホンネをお金に変える技術

ジーンパートナーズ
仁科 雅朋 代表取締役

【PROFILE】1966年生まれ。大学卒業後、味の素に入社。戦略型商品のシェアアップの功績により、入社歴最速で社長賞を獲得する。当時から自部門のみならず他部門の同僚からの相談を受けることが多く、いつしか、より多くのビジネスマンや組織を支援したいという思いが加速し、30歳でコンサルタントに転身。業績の良い組織は何が違うのかを徹底的に分析し、「明確な目標と戦略のもとに、チームでPDCAを高速化させれば、業績は必ず向上する」ことを実証、以後、20年間、20億から1兆円を超える大企業を指導し、関わったすべてのクライアント業績を向上させてきた。「いつでも、どんな組織も輝かしい業績を上げることはできる」をモットーに全国を飛び回り、日々多くの企業にモチベーションと革新を起こしている。

コンサルタントとして20年間、数々の組織変革に携わってきました。各社には固有の問題があり、その解決の方法は様々です。しかし、一方で日本特有の組織の盲点も見えてきました。それは、日本人特有のコミュニケーション文化に根差しています。端的に申し上げると、それは「建前」の文化といえるでしょう。

この文化はたとえ自分と意見が違っても、上司からの指示には甘んじて従い責務を遂行するという精神文化です。お役人の方々はこれを「役人道」と表現されます。日本人が大好きな「忠臣蔵」に代表される武士道の精神ともいえるでしょう。

しかし、この文化は「本音を言えない」文化でもあります。この矛盾が現代ではストレスを生み、大企業病と言われる「事なかれ主義」の多くを担っているのです。これは日本人の精神性に基づいているため、「本音をいいなさい」「問題を出せ」と言われても正直、中々すんなりとは出てきません。

しかし本当は、グチや不満は誰でも持っているものです。ひと度、「この場ではグチや不満を出してもいいですよ」「ここで語られたことは守秘義務がありますので日頃のうっ憤を思いっきりぶちまけちゃってください」とその場に許可を出せば、出るは出るはとたくさんのグチや不満が放出されるのです。

そしてそのグチを整理し、冷静に洞察すれば、その裏に隠れた組織の本質的な問題が浮かび上がり、ボトルネックが立ち現れてくるのです。グチや不満は本音であり、「本当はこうありたい」「こういう会社で働きたい」という期待の裏返しです。これからは「グチは言ってはいけないもの」という認識を改め、グチは組織変革の起爆剤だと考えて頂きたいと思います。

実際にグチ活会議を行うと、様々な問題は解決し、ブラックでもホワイトでもない透明な組織風土が醸成されます。本書ではグチ活会議で飛躍的に生産性が向上した事例や具体的な手順が書かれています。是非、組織変革の一助として活用頂ければ幸いです。

仁科雅朋 著
日経BP/日本経済新聞出版本部、税込1,650円

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