ビジネスメールでは、プライベートで送り合うメールと違って、最低限押さえておきたいルールやマナーがあります。たとえ社内宛てのメールでも、相手に不快感を与えてしまっては、仕事が円滑に進みません。では、どんな部分に注意すればいいのでしょうか。
件名だけで内容が分かるようにする
社内連絡をメールで行っていると、どうしてもメールの件数が増えてきます。とくに報告が集中する管理職の場合、1日に100通以上ものメールを受信することも。すると、「経理部の山田です」「お疲れ様です」といったタイトルのメールでは、ほかのメールに埋もれてしまい、気づかれないこともあり得ます。
メールの件名は、一目で用件の概要が分かるものにしましょう。さらに、重要なメールや至急確認してほしいメールは、下記のようにタイトル冒頭に「要確認」「至急」といった注意を促す但し書きをつけておくのがベターです。
件名:【要返信】新プロジェクトの打ち合わせの出欠確認
件名:【至急】A社見積もり提出期限について
また社内連絡メールであっても、いきなり用件から書かずに、本文の冒頭に「お疲れ様です」という挨拶の一言を入れましょう。その後に自分の所属と名前を書いておくと、誰から届いたメールなのか、ヘッダやシグネチャを確認しなくても分かるので便利です。
お礼のメールでの注意点
仕事上でサポートしてもらった時は、すぐにお礼を述べるのが社会人としてのマナーです。きちんとお礼の気持ちを伝えることで、好感度が上がり、その後の仕事もしやすくなります。
しかし、タイミングを外してしまうと、逆に失礼に思われてしまうことも。お礼のメールはなるべく早く、遅くとも翌日には送るようにしましょう。
またお礼メールは、直接業務には関係のないものです。だらだらと長文を書き連ねては、読むのに時間をとらせてしまい、相手の業務を邪魔することにもなります。
お礼メールはなるべく簡潔に、短文で感謝を伝えるようにしましょう。
社内向けお礼メールのサンプル
件名:ご対応ありがとうございました。
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総務部 近藤 勇 様
お疲れ様です。
営業部の藤堂平助です。
池田屋商事の件につきまして、
私の外出中にご対応いただきありがとうございました。
おかげで早急に先方と連絡をとることができました。
合わせまして、
関連資料も取りそろえていただき、大変感謝しています。
また、お手数をおかけすることもあるかとは思いますが、
引き続きよろしくお願いいたします。
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営業部 藤堂 平助
内線 999
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社内向け謝罪メールでの注意点
ミスをしたときはメールではなく、直接顔を見て謝罪するのが基本です。ただ、数字などの訂正が必要なトラブルの場合、メールのほうが分かりやすいという利点があります。
訂正を伴う謝罪をするときには、まずメールで謝罪して訂正の内容を伝え、それから直接謝罪に出向くようにします。
また、謝罪メールでは「今後はこのようなことが起こらないようにする」というのはもちろんのこと、トラブルの解決方法や今後の防止策も書いておくようにします。
社内向け謝罪メールのサンプル
件名:グラバー商会見積書訂正のお詫び
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坂本 龍馬 営業部長
お疲れ様です。
中岡慎太郎です。
実は、昨日提出しました
グラバー商会宛ての見積書に誤りがありました。
以下の通り訂正し、新しい見積書を添付しますので、
ご確認いただけますようお願いいたします。
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修正箇所:合計金額
(誤)¥56,700-
↓
(正)¥57,600-
********************
なお、見積書を先方に提示する前に誤りに気づいたため、
特にトラブルにはなっておりません。
しかし、今後はこのようなことのないよう
注意して見積書を作成するよう努めます。
大変申し訳ありませんでした。
取り急ぎ、メールにてお詫び申し上げます。
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営業部 中岡 慎太郎
内線 999
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休暇申請メールでの注意点
年次有給休暇は、労働基準法で社員に保証された権利です。「とくに理由はないけど休みたい」といった休暇申請でも、会社は休暇取得を認めなければなりません。申請した日が業務上不都合な場合は、取得日の変更を求めることができますが、会社には有給休暇を取らせないという選択肢はないのです。
そうは言っても、やはり上司や同僚のサポートがなければ、休暇中の業務が滞ってしまいます。負担をかけるのですから、休暇を取るときには周囲への配慮が必要です。
メールのタイトルは「休暇届け」ではなく、あくまでお願いするという形式で「休暇願い」としておきましょう。そして休暇申請のメールを送る前に、休暇中に何かあった場合のサポートを同僚にお願いしておくこと。メールには、誰にサポートを頼んだのかを明記して、さらに休暇中の緊急連絡先を書いておけば安心です。
休暇申請メールのサンプル
件名:年次有給休暇願い
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西郷 隆盛 営業部長
お疲れ様です。
営業三課の大久保利通です。
○月×日、私用により年次有給休暇にて
お休みを頂きたく思っております。
よろしければ、ご許可頂けますでしょうか。
休暇中の業務につきましては、
営業三課の桂さんに対処戴けるよう依頼しました。
携帯電話での連絡はできるようにしておきますので、
緊急の場合はご連絡いただければ幸いです。
不在中、ご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、
ご了承のいただけますよう、よろしくお願いいたします。
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営業部 営業三課 大久保利通
内線:9999
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社内メールはとにかく簡潔に
社内メールは業務連絡ですから、簡潔に用件が伝わらなければ意味がありません。必要なことだけを簡潔に伝えるためにも、「WHEN(いつ)」「WHERE(どこで)」「WHO(誰が)」「WHAT(何を)」「WHY(なぜ)」「HOW(どのように)」の「5W1H」を意識して書いてみてください。
状況を詳しく説明すると、どうしても長文になってしまうような場合は、メールで伝えるべき用件ではありません。直接出向いて口頭で説明するほうが、事態が伝わりやすいはずです。
また、1本のメールに書く用件は、ひとつにすることが基本です。複数の用件が書かれていると分かりにくくなりますし、メールをさまざまなフォルダに振り分けて管理している場合には、処理がしにくくなります。
社内メールの基本的なマナーをしっかりおさえて、メール達人を目指してみましょう。